
「朝が弱い」「夜のほうが頭が冴える」
そんな生活リズムの違いが、実は心臓や脳の病気と関係しているかもしれないと聞いたら、少し気になりませんか。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)の最新研究によって、夜型の人は朝型や中間型の人に比べて、心臓発作や脳卒中のリスクが高い傾向があることが報告されました。
ただし重要なのは「夜型だから危険」という単純な話ではない点です。
この研究は、夜型・朝型という体質の違いと、日常の生活習慣がどのように心血管の健康に影響するのかを、30万人以上のデータから詳しく調べたものです。
その結果は、私たちの毎日の過ごし方を見直すヒントを与えてくれます。
研究の詳細は2026年1月28日付で学術誌『JAHA』に掲載されました。
目次
- 夜型の人は心臓発作や脳卒中が多かった
- 本当の原因は「夜型」そのものではなかった
夜型の人は心臓発作や脳卒中が多かった
研究者たちは、イギリスの大規模健康データを使い、中高年約32万人を14年ほど追跡しました。
参加者は、自分の生活リズムを「朝型」「夜型」「その中間」に分けて申告しています。
その結果、夜型の人は、中間タイプの人に比べて、初めて心臓発作や脳卒中を起こすリスクが約16%高いことが分かりました。
一方で、朝型の人は、特にリスクが高くなる傾向は見られませんでした。
ただし研究者たちは、ここで「夜型の人は体質的に心臓が弱い」とは結論づけていません。
注目されたのは、夜型の人に多く見られた生活習慣の特徴です。
夜型の人は、
・喫煙している割合が高い
・睡眠時間が不足しがち
・食事の内容が不規則になりやすい
・運動量が少ない
といった傾向を持っていました。
これらは、心臓や血管に負担をかけることが知られている要因です。
本当の原因は「夜型」そのものではなかった
研究では、心臓の健康状態を評価するために、運動、食事、睡眠、喫煙、体重、血糖、血圧、コレステロールという8つの基本指標が使われました。
これは「心臓に良い生活がどれくらいできているか」を点数化したものです。
分析の結果、夜型の人はこの点数が全体的に低いことが分かりました。
特に、喫煙と睡眠不足の影響が大きく、これらが心臓発作や脳卒中のリスク上昇の大部分を説明していました。
重要なのは、これらの生活習慣を考慮すると、夜型そのものが直接リスクを高めているわけではなかった点です。
つまり、夜型の人でも、禁煙し、睡眠を確保し、食事や運動に気をつけていれば、リスクは大きく下げられる可能性があります。
研究者は「夜型の人が朝型中心の社会で生活することで、健康的な行動を取りにくくなっている」ことが問題だと指摘しています。
早朝出勤や朝型の生活リズムに無理に合わせることで、睡眠や食事が崩れやすくなるのです。
今回の研究が示したのは、朝型か夜型かよりも、どんな生活を送っているかが心臓と脳の健康を左右するという事実です。
夜型の人は不利になりやすい環境に置かれがちですが、それは「改善できない運命」ではありません。
禁煙する、睡眠時間をできるだけ安定させる、食事と運動を意識する。
こうした基本的な行動が、心臓発作や脳卒中のリスクを大きく下げることが分かっています。
完璧な生活リズムを目指す必要はありません。
自分の体質を理解したうえで、できるところから整えていくことが、心臓と脳を守る最も現実的な近道なのです。
参考文献
Major Study Links Being a Night Owl to Higher Heart Attack And Stroke Risk
https://www.sciencealert.com/major-study-links-being-a-night-owl-to-higher-heart-attack-and-stroke-risk
元論文
Chronotype, Life’s Essential 8, and Risk of Cardiovascular Disease: A Prospective Cohort Study in UK Biobank
https://doi.org/10.1161/JAHA.125.044189
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

