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なぜ岐阜県美濃市は部活の地域移行に成功したのか。ボランティアと最小予算で実現した理由

なぜ岐阜県美濃市は部活の地域移行に成功したのか。ボランティアと最小予算で実現した理由

少子化や教員の働き方改革をきっかけに、中学校の部活動を学校ではなく地域の人々、団体で担っていこうという“地域移行”が文部科学省、スポーツ庁の提言によって進められている。必要性は理解されているものの、進捗は地域によってさまざまな“地域移行”を、いち早く実現しているのが岐阜県美濃市だ。それはどのようにして進められたのか、美濃市教育委員会にうかがった。

元々スポーツ振興を地域で取り組んでいた美濃市

「もともと美濃市では、中学生の保護者と指導者によるボランティアによって育成会の活動がずっと続けられていました。必要経費を家庭で負担して支えるうちに、保護者の中には後に指導者になる方もいらっしゃいました。その取り組みに大人対象のバドミントンや卓球なども加わって、地域全体でスポーツを振興していこうという土壌が美濃市にはありました」

そう語るのは美濃市教育委員会教育振興課課長の芝田純也氏だ。美濃市では地域全体でスポーツに取り組むという空気になっていた中、2000年に文部科学省が青少年の体力向上のため、家庭、学校、地域の連携、そして学校の部活動に地域社会人の力を活用するというスポーツ振興基本計画を策定した。

また、新しい学校づくり推進室の小野木卓氏は、こう語る。
「その文科省の提言により美濃市では、保護者や育成会が平日夜や土日の部活動の指導を地域社会人にお願いをして、自主的に運営するという流れができました。ですから文科省が部活動の地域移行を計画した2020年の段階で、美濃市では既に部活動を保護者が運営するという素地はできていたので、それを背景に体制を整えていったという形です。現在、中学校の部活動は100%地域によって行われていますが、文科省に言われて急いだとか、頑張って無理矢理やったということではないのです」

美濃市の地域移行を加速させた様々な要因

小野木氏自身、2000年のスポーツ振興基本計画が発表された頃から地域社会人として部活動に関わることになり、地域移行が正式に決まってからは、教育委員会の一員として地域や学校をうまくつないでいくコーディネーターとしての働きを担っている。

「中学校の部活動は、昭和20年代後半から続いてきたという長い歴史があります。小学生が中学校に進学するにあたっては、勉強とともに部活動にも打ち込むというのが成長に欠かせない過程だというのが、生徒や保護者はもちろん地域の人全体の共通認識でした。しかし、時代の流れにくわえて文科省が部活動は全員参加ではなくてもいいという方針を打ち出したことにより、部活動に参加する生徒たちはどんどん減っていき、2023年度に中学校に入学した生徒ではとうとう3割を切りました」(小野木氏)

部活に参加するのは生徒の3割でも、教師は部活の指導に当たらなければならないとすると、どういうことが起きるのか。

「放課後になると、部活に参加していない多くの生徒は、さようならと言って帰っていきますが、先生は部活を見なければいけませんから、帰って行く子どもたちとコミュニケーションをとることはできません。そして、教師の会議がある場合は、部活後の5時過ぎ、6時過ぎに始まる。会議が終わって、やっと授業の準備など自分の仕事に取りかかることができます。そうして延々と働く時間は延びていくのです」(芝田氏)

このような状況と、元々あった地域でスポーツ振興を支える動きを背景に、美濃市の部活の地域移行は進んでいくのだが、完全に中学校が部活にタッチしなくなるのには、もうひとつ要因があった。

「以前は、部活に地域社会人の指導者と、学校の先生の指導者のふたりが並立していることがありました。しかし、監督というのは二人も必要ありません。お互いに言うことが違えば、生徒にとっては混乱の元ですから。また、先生の方は部活の得手不得手があり、異動もあります。異動した先では、人員の都合などから必ずしも得意なジャンルの部活を担当できるとは限らない。以上のような状況も、部活の完全な地域移行を進める後押しになりました」(小野木氏)

配信元: パラサポWEB

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