先日、とあるセブンイレブンを訪れた時のことである。カウンターの前に、「お店で焼いたピザ」を提供しているとの表示があった。そういえばと、同店が店舗限定で「焼きたてのピザを販売するサービス」を開始していたことを、その時になって思い出した。
調べたところ、サービスが始まってから既に1年以上は経過しているらしい。それにしては店舗限定であることを踏まえても、あまり話題になっていない気がする。いまひとつ強みに欠ける仕上がりなのか。
まあ、それも仕方なかろう。ピザの道は険しい。そうやすやすと上手く作れまい。曲がりなりにもグルメ記事を書いている身として、この見立てが外れるようなら恥じ入るほかない。そんな心持ちでピザを頼んでみた結果、結論から書くと、すこぶる美味しかったのである。
恥ずかしい限りである。しかし恥じ入ってばかりいても読者の方々に鬱陶しがられるだけなので、具体的なレビューを記していきたい。
まず注文方法に触れておくと、筆者が訪れた店舗では、カウンター前に積まれたピザの空箱を取り、レジに持っていくという形式だった。
その際、注文したい味に応じた空箱を選ぶ必要がある。味はマルゲリータと照り焼きチキンの2種類で、前者は税込780円、後者は880円だった。ちなみにこの「お店で焼いたピザ」は、公式デリバリーサービスの「7NOW(セブンナウ)」を通じて注文することも可能である。
今回、筆者はオーソドックスなマルゲリータ味を持ち帰ることにした。注文後、店員の方が冷凍のピザをオーブンで焼き始める。同時に番号の載った札を渡され、そこから2分ほど待てば商品を受け取れる。
商品の外箱には「PIZZA」の文字が大々的に躍っている。筆者はレジ袋を購入したのでことなきを得たが、むき出しのまま持ち帰る場合は外箱があまりにピザすぎるため若干周りの目が気になるかもしれない。
ともあれ、肝心なのは中身である。読者の方々には冒頭で「美味しい」ことをお伝えしてあるが、むろん実食する前の筆者はそれを知らない。しかし蓋を開けてピザを目にした時点で、筆者の中でその予感は大いに芽生えていた。力の入りようを訴える見た目だったからである。
そして食べてみると、予感を全く裏切らない味がした。店から持ち帰る過程で、箱越しにもわかるほどだった熱さがやや冷めてしまったのだが、それでも美味しい。チーズとバジルとトマトソースのみという素朴な味付けが、むしろ味覚にまっすぐ響いてたまらない。
大手ピザチェーンで言えばハンドトスに相当するであろう厚みの生地も、もっちりとした弾力があって柔らかい。加えてサイズも直径約19cmに及び、十分な食べ応えを有している。
「価格対サイズ」のコストパフォーマンスだけで見るなら、世の中に多くあふれる冷凍食品のピザたちには引けを取りうるものの、店頭でのパワフルな加熱も手伝ってか、それらより専門店寄りのクオリティに数歩踏み込んでいるように感じる。
「冷凍」と「専門店」のあいだの立ち位置というのは、以前同じくセブンイレブンの「お店で仕上げた できたて麺」を食べた時にも抱いた印象である。その絶妙な路線を精力的に突き進む同店の取り組みを、少なくとも筆者は好ましく思う。
つくづく焼きたての状態ですぐに食べられなかったのが惜しい。レンジで温め直した途端にチーズがとろけだしただけに余計に惜しい。もはや店頭でピザを買ったその場でピザパーティをさせてくれないのが酷でさえある。
何より惜しいと言うなら、何故このピザが話題になっていないのかという最初の疑問に改めて立ち返ることになる。差し出口ながら一つ考えたことを書かせてもらうと、セブンイレブンはもう少しこのサービスをアピールしてもよいのではないか。
単純に、店舗の外からでは「ピザが提供されているか」が不明瞭なのである。「セブンカフェベーカリー」をアピールするのぼりは立っていたりするが、ピザに関するものは見当たらない。入店して確かめるしかない。導入店舗を他にも2、3店訪ねたが、状況はほぼ一緒だった。
せめてわかりやすければと思わずにいられない。読者の方々におかれては、もし当記事を読んで興味を持たれたなら、何とか導入店舗を見つけて「お店で焼いたピザ」を体験してみてほしい。前出の「セブンナウ」を使えば探しやすくはなるので、デリバリーもお勧めだ。
少しでも利用客や評判が積み重なっていくことで、いずれこのピザはいっそう飛躍するはずである。それだけのポテンシャルがある。曲がりなりにもグルメ記事を書いている身として、この見立てが外れるようなら、深く深く恥じ入るほかない。
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.
