2月1日に巨人の春季キャンプがひなた宮崎総合運動公園で始動。初日の目玉イベントとなったのが、阿部慎之助監督のトークショーだった。巨人ファンおなじみのフリーの阿出川浩之アナのMCで和やかに進行していたのも束の間、ピリッとした緊張感が走る場面が2度あった。
まず、1度目は春季キャンプのキャッチフレーズ「Hard Work×Strong Yell=HERO~猛練習と大声援でヒーローは成る~」の話題にて。その思いについて尋ねられると、
「素晴らしい功績を残された方で、練習をしていない方は、たぶんいないと思うんです。まぁ、『ハードワーク』だとか『地獄』だとかね、僕は言ってしまうんですけど、ゲームに勝つためのことをやっているつもりです。あまり言葉にしてしまうと…、マスコミがいけないんですけど…」
と言い淀みながらもメディアに向けて“牽制球”を投げてきたのだ。スポーツ紙デスクが解説する。
「2軍監督時代に選手に課した罰走などの前時代的な指導の影響で“鬼軍曹”のイメージが定着してしまいました。春秋のキャンプで厳しい練習メニューを課すたびに、メディアは『地獄』というワードを多用してきました。阿部監督としては不本意なのかもしれません」
2度目は阿出川氏による「注目している選手」についての質問。少しムスッとした表情になって、「個人名をあげる必要はないと思います」と前置きしてこう続けた。
「全員がフラットな状態でスタートしました。素晴らしい実績のある人もいますけど、それはチームの財産として置いておく。フラットな状態でスタートしたので、ベテランも若手も全員にチャンスがあります。その競争を(ファンに)見ていただければありがたいと思います」
リップサービスをしないあたりが“ガチンコ”のレギュラー争いを裏付けているのだろう。さらに、イベントの終盤には会場をしんみりさせた一幕も。トークショーの前に、パフォーマンスをした宮崎南高校書道部が書道パフォーマンスを披露した、宮崎南高校書道部に関連させて、こう口を開いた。
「みなさん、忘れちゃっているかもしれませんが、宮崎南高校は(巨人OBの)木村拓也さんの母校です。拓也さんのことをたまにで良いんで思い出してあげてください。大事なご縁だと思いますので…」
かつての同僚で2010年に急逝した“兄貴”の名前を出し、偲んだのである。時に言動や態度が問題視される指揮官だが、単に実直なだけかもしれない。
(五代晋作)
平成ひとケタ生まれのゆとり世代。プロ野球や大相撲をメインにスポーツを取材する。密かなライフワークは日本の映画&ドラマ鑑賞。動画配信サブスクが手放せない。

