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ミラノ・コルティナ五輪に見る「アルペンスキー・世界最速の滑りを支えるギアの真実」

スキーの台数・サービスマン・メーカーサポート

オーストリアのケスレ本社を訪問した佐々木明(後ろ姿)と話が弾んでいるチュンティ(右)とダニエル・ロードラー(左) ちなみにダニエルの兄は、2016年から現在もマルコ・オデルマットのサービスマンをしているクリス・ロードラーだ。 Photo:Kenta Uraki

私自身、現役時代は4種目すべてをこなしていたため、遠征に持っていくスキーの台数はかなり多かった。1回の遠征で必要なスキーはおよそ15台。1台10kg以上あるため、頑丈なケースに入れれば、それだけで約200kgもの重量だ。海外遠征で最初に訪れる“戦い”は、空港のチェックインカウンターでのオーバーウェイト交渉だった。

それはさておき、先日、ケスレスキーの女子エース、エスター・レデッカのサービスマン、チュンティ氏に、スキーを何台持ち歩いているかを聞いたところ、スピード系種目のみ参戦の彼女でも40台は常備しているという。以前、全種目をこなすフランスのスター選手、アレクシー・パンテュローのサービスを担当していたチュンティ氏だが、アレクシーは年間で実に160台ものスキーを使用していたそうだ。

サービスマンという話になると、トップ選手となれば、だいたい1人の選手に1人のサービスマン、カーレースで言うところのメカニックがついている。サービスマンの主な仕事は、スキーのチューンナップ。特にエッジは、正確な角度で、ナイフのように鋭利で傷のない状態に仕上げるのだが、この技術を身につけるには、熟練の技が必要だ。加えて、雪上でのサポートはもちろんのこと、良い関係を構築できれば、選手のメンタル面にも大きく関わってくる。

選び抜かれたマテリアル、準備をしてくれるサービスマン、これらを経済的にサポートしているスキーメーカーなど、スキー板だけをみても、これだけ多くのモノ、人、お金が動いており、決して1人だけで戦えるような世界ではない。

トップ選手が使用するスキーブーツ・その特長

Copyright: Kästle GmbH

スキー板以上に、選手の感覚へダイレクトに影響するのがスキーブーツだ。

例えば、市販モデルで最も硬いとされる150のフレックスは、大きく分けてハード・ミディアム・ソフトから選べる選手用のブーツの中では、ソフトのカテゴリーとなる。シェルの硬さは、さらに細かいカテゴリーから選択し、さらにはアッパーシェルとロワシェルで硬さを変えるなど、選手ごとに好みは分かれる。

カント調整も重要で、アッパーとロワの接合部、あるいはブーツ底面のリフタープレートにカントプレートを挟み、選手それぞれで違う骨格やバランスから、最適なセッティングをミリ単位で調整する。

トップ選手の多くは、SL、GS、スピード系と種目ごとにブーツを使い分けている。スキーが変われば、ブーツも変わる。それほどまでに役割は明確だ。意外と知られていないのが、ブーツのサイズ感だろう。トップ選手は一般スキーヤーよりも、明らかに小さいサイズのブーツを履く傾向にある。

理由は、面で力を伝えるよりも、点で圧をかけたほうが雪面へダイレクトにパワーを伝えられるからだ。レーシングブーツは元々タイトに作られており、痛い部分を削って足に合わせていく。ただし削るのは側面だけではない。つま先やかかとまで削り、限界までフィット感を高める。100分の1秒を争う世界では、快適性よりもパフォーマンスが優先されるのは当然だ。

2003年W-CUPウェンゲン大会で2位となった佐々木明の滑り
Photo:AFLO

身近な例では、佐々木明選手が20歳の頃、フリーライド好きなのもあり、ややゆるめのレーシングブーツを使用していた。成績が伸び悩んでいた時期で、サービスマン伊東裕樹氏の助言でサイズを落としたところ、結果が飛躍的に向上したという。また、現在も世界のトップで戦う加藤聖五選手は、普段27.5〜28cmのシューズを履くが、スキーブーツは25.5cmを使用しているそうだ。

もちろん、これは世界の頂点で戦う選手の話。一般スキーヤーは、1日快適に滑れるジャストフィットのブーツを選んでほしい。

配信元: STEEP

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