
辛島健太郎役、高橋文哉さんのプロフィール写真
【画像】え…っ? 「年とってもイケメン」「名前の響き似てる」 コチラが「健太郎のモデル」説あった「やなせたかしの同級生画家」です
カレーパンマンがモデルなのは間違いないが
『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、2025年9月26日(金)に130話で完結しましたが、9月29日(月)から10月2日(木)まで、15分のSPドラマとキャスト座談会などを合わせた特別番組が23時から4夜連続で放送されます。29日の第1夜は、「柳井嵩(演:北村匠海)」の親友「辛島健太郎(演:高橋文哉)」が主人公の「健ちゃんのプロポーズ」というドラマが放送予定です。
この特別ドラマでは、93話で健太郎が「朝田メイコ(演:原菜乃華)」に求婚したエピソードの裏話が描かれます。健太郎がメイコにプロポーズしたとき、物語はまだ1948年時点で、高知県の闇市から姿を消して上京した健太郎がNHKで働き始めていたことも話題になりました。
最初は高等芸術学校の同級生として嵩と出会った健太郎は、戦争が始まって徴兵されてから陸軍小倉連隊で嵩と再会し、戦後も福岡県からいきなり高知県の柳井家にやってくるなど、いなくなっては再登場、という流れを繰り返しています。なんだかんだでずっと嵩のそばにいた彼は、物語を和ませる名物キャラとして人気を博しました。
『あんぱん』脚本担当の中園ミホさんは、いくつかのインタビューで各登場人物に『アンパンマン』のキャラクターを当てはめていることを明かしています。健太郎が誰に該当するのか、はっきりとは明かされていませんが、名前に「辛」という字が入っている点や、カレーが大好きで最終的にカレー屋を開いたことを考えると、「アンパンマン」とともに戦うヒーロー「カレーパンマン」がモデルで間違いないでしょう。
アンパンマンキャラのモデルは明白ですが、気になるのは彼に「史実のモデル」がいるのかという点です。最初はやなせたかしさんが通っていた、官立旧制東京高等工芸学校図案科(現:千葉大学工学部総合工学科デザインコース)の同期の挿絵画家で、1966年のNHK連続テレビ小説『おはなはん』のタイトル絵でも知られる風間完さんではないかと言われていましたが、健太郎は絵の道には進みませんでした。
やなせさんの自伝などを読むと、健太郎は特定の誰かがモデルというわけではなく、やなせさんに重要なきっかけを与えた数人の人物が混ざっているようです。
健太郎は1946年、復員して高知に帰ってきたばかりの嵩を誘って、高知市内の闇市で廃品回収の仕事を始めました。その仕事のなかで、嵩は廃品として拾ったアメリカの雑誌にあこがれを抱き、また絵やマンガを描きたいという気持ちが湧いて「高知新報」の試験を受け、先に入社していたのぶと再会しています。
やなせさんは自伝『アンパンマンの遺書』(岩波書店)のなかで、戦争から戻ってきてしばらく無気力状態だったとき、戦時中一緒に暗号班で働いていた同郷で同じ「柳瀬」という苗字の戦友が、廃品回収の仕事を手伝ってほしいと頼んできたことを振り返っていました。やなせさんはその仕事のなかで拾ったアメリカの本に触発され、再びクリエイティブな仕事がしたい(戦前は製薬会社のデザイナーだった)と、当時募集が出ていた高知新聞の記者の試験を受けています。
そして、やなせさんは入社後に立ち上げられたばかりの月刊誌「月刊高知」の編集部に配属され、そこでのちに妻となる小松暢さんと運命的な出会いを果たしました。戦友の柳瀬さんの仕事の誘いがなければ、やなせさんは暢さんと結婚せず、絵の仕事にも戻っていなかったかもしれません。
また、NHKのディレクターになってからの健太郎が嵩に依頼した重要な仕事といえば、1964年からスタートした『まんが教室』があります。この番組で、嵩は大きな知名度を得ました。
やなせさんも1964年から1966年まで、「マンガの先生」という役回りで落語家の立川談志さんと一緒にNHKの『まんが学校』という番組に出演しています。この仕事を頼んだのは、NHKのディレクターをしていた丸谷賢典さんという人物です。ある時、いきなりやなせさんの家にやってきた彼は、「こんどNHKで『まんが学校』という番組を始めるので、先生の役で出演してください」(やなせさんの自伝『人生なんて夢だけど』より引用)と頼んできました。
仕事を断らないやなせさんは、3年間番組に出続け、子供たちを中心に人気者となります。そして、それまで大人向けのマンガを描いていたやなせさんのもとに、子供向け雑誌の仕事が次々とやってきたそうです。やなせさんは「この(子供向けの仕事の)道はアンパンマン誕生への伏線となる最初の出発点になった」(『アンパンマンの遺書』より引用)と振り返っていました。
健太郎は「戦友の柳瀬さん」や「NHKの丸谷さん」など、物語上欠かせない役割の人物がミックスされたキャラだったといえます。
