・理由3:「情」としてのおかず
韓国におけるおかずは、単なるサービスではない。そこには「情(チョン)」という文化が息づいている。
韓国では、パンチャンは単なる料理ではなく、「自分たちの料理をしっかり味わって帰ってほしい」という気持ちの表れである。
だからこそ、おかずの数が多いほど、もてなされているという感覚が生まれる。
そしてその心遣いは、外食文化において「無料のおかず」という形で、客への配慮として現れているのだ。
例えば、韓国では飲食店に入っておかずを「おいしい」と言うと、サービスだと言って、店員や店主が直接おかわりを持ってきてくれることが少なくない。それは、自分の料理をおいしく食べてくれたことへの感謝を示す、ささやかな誠意の表れである。
それだけではない。キムチやナムルといった韓国の基本的なおかずについては、セルフサービスコーナーを設け、店員に頼まなくても、好きなだけ取って食べられる店も多い。
一方、日本では、韓国よりも食券文化が発達していることからも分かるように、「自分が注文した料理だけを受け取って食べる」という認識がある。食事は、あらかじめ支払った代金の範囲内で完結するものと考えられており、サービスが提供されることはあまりない。
そのため、店側にとっては提供する内容が明確になり、客側にとっても気兼ねなく食事を楽しむことができる。このような外食文化は、決して冷静さを意味するものではなく、むしろ客に負担をかけないための配慮として理解できるのだ。
もちろん、日本においても、副菜や料理を分け合って食べる文化がまったく存在しないわけではない。鍋料理や刺身のように、それぞれが自分の分を取り分けて食べる料理もある。
それでもなお、日本の食卓は全体として、各自の皿や役割が明確に分けられており、その点において韓国の食文化とははっきりとした対照を成している。
日本での暮らしも、気づけば三年目に入った。今では、食事におかずが付いてこなくても、さほど寂しさを感じなくなった。むしろ、定食を注文したときに添えられている小さなおかずが、どこか嬉しく、ひと口ずつ味わうようになった。
そして久しぶりに帰国すると、たっぷり並ぶおかずの一つひとつに感謝しながら食べている自分に気づく。こうした変化こそが、文化の違いがもたらす、ささやかな「妙味」なのかもしれない。
執筆:カン・へジュ(KANG HYEJOO)
Photo:RocketNews24
