来月開催のWBC日本代表メンバーに、ボストン・レッドソックスの吉田正尚が最後の一枠“ラストサムライ”として選出された。
前回大会では打点王を獲得し、侍ジャパン世界一の立役者となった男の加入となったが、今回は率直には喜べない。吉田の選出に伴い、チームの致命的な構造欠陥を危惧する声が広がっているからだ。
その最たるものが、外野手の両翼偏重問題だ。ファンの間では、
《WBCの外野スタメンどうなんの?》
《井端監督って誰がどこ守ってるか知らないでWBCのメンバー選んだのかな?》
《WBC外野手飽和状態》
など、吉田を受け入れる喜びの声よりも、守備位置に対する不安の書き込みが溢れている。
「確かに指摘通り、今回の外野手を見渡すと、主な守備位置は吉田がレフト、鈴木誠也・森下翔太がライト、両翼を守れる近藤健介と、センターは周東佑京のみ。その周東も、昨季までは内野手登録で純粋なスペシャリストとはいえず、国際大会ではいささか不安も残る。日本一の俊足を誇り、守備範囲の広さは折り紙付きではあるのですが…」(スポーツ紙メジャー担当)
専門職のセンターがおらず、便利屋的な立ち位置の周東にすべてを託さざるを得ない現状。これこそが、今回の編成の最大のウィークポイントと言われているのだ。
それにしても、なぜファンはここまで“本職以外の守備”にアレルギー反応を示すのか。
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北京五輪の悪夢再来の可能性も
「国際大会の記憶に刻まれた深いトラウマがあるからですよ。時は2008年、北京五輪を戦った星野仙一さん率いる星野ジャパンは、打力を優先して本職はライトのG.G.佐藤をレフトで起用しました。その結果、準決勝の韓国戦で平凡なフライをまさかの落球、タイムリーエラー。慣れないポジションでの起用が、メダルを逃す引き金となりました」(スポーツ紙デスク)
吉田の加入で、攻撃力がアップするのは間違いないだろう。しかし、たった一つのプレーが勝敗を分ける怖さを、ファンは鮮明に記憶している。
「首脳陣が“打ち勝つ野球”に全振りするというのなら、村上宗隆をファーストに置き、佐藤輝明がサード、外野は鈴木・近藤・岡本和真という布陣もありだが、あまりに非現実的すぎる。そもそも、センターを周東で固定するなら、鈴木・吉田・近藤・森下の誰かが控えという“宝の持ち腐れ”オーダーになってしまい、いずれにしても課題です」(前出・デスク)
プロ野球の歴史を振り返ると、強力な打線を擁したチームより、投手力・守備力の“守り”を鉄壁にしたチームがペナントを制する傾向にある。短期決戦という差はあるものの、井端弘和監督には急ごしらえの配置転換で乗り切れるという算段があるのか。
最強の矛を手に入れた侍ジャパンの足元には、守備位置問題という地雷が埋まっている―。打撃重視のあまり守備をおろそかにしてチームが崩壊した巨人の“史上最強打線”の轍を踏まなければいいのだが。
