プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は大学卒業後に飛躍的に成長、YouTuberとしても人気を博す小倉孝介選手が登場。フォアハンドのエッグボールを教えてもらった。
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フォアハンドは常に試合展開を変えるキーショットで、どれだけ多くフォアを打てるかでラリーの流れが決まります。その意味で海外でも通用しているのは、厚い当たりのスピン、いわゆる「エッグボール」です。
それがラリーの中で1本打てれば、相手に叩かれることはないし、逆に相手を下げたり、ミスヒットを誘ったりできます。一番相手のバランスを崩せるショットですね。
エッグボールを打つには、僕は5つポイントがあると思っています。まずは弾道のイメージの持ち方。ネットよりラケット2本分くらい上を通すつもりで、少し高めを狙うようにしています。普通のスピンよりも高めですね。このショットを打つ時はスイングスピードが速いので、その高さでもボールはしっかり落ちてくれます。
続いてテイクバックでは、手で引くのではなく“右の肩甲骨を寄せる”ように意識しています(写真2コマ目)。そうするとラケット自体は大きく引かなくても、十分にヒジを後方に持っていけるので、あとは出していくだけです。肩甲骨でがっちりラケットがセットされるので、ブレもなくなります。
3つ目はスイング方向です。単純に前に振るのではなく、インパクト後も少し右に振ってボールをつぶすイメージを持っています(6コマ目)。要はすぐに巻き込まないということ。スピンを意識しすぎると巻き込みがちですが、長くラケット面にボールを当てるには、少し右に出すのがコツです。
グリップの持ち方にもコツがあります。まだ僕も完全ではないですが、親指、薬指、小指の3本でグリップを支えるんです。全体で握らず、親指プラス下の指で握ると、まず力が入りすぎないし、人差し指の辺りに余裕があるので、ラケットヘッドを鋭く動かせるのがメリットです。
5つ目のポイントは股関節のセット。打つ前に右の股関節をハメるというか、折り込んでタメを作ります(2コマ目)。そして打つ時に右足の母指球を蹴って(4コマ目)、股関節を解放するのですが、そのベクトルの方向が前に行くことが大切です。
スピンをかけようと思うと上に行きやすく、そうするとガシャッたり、回転過多になってしまいます。スピンでも股関節を前に解放するのが、パワーを出す秘訣ですね。
【プロフィール】小倉孝介/おぐらこうすけ
1996年2月9日、神奈川県生まれ。171cm、66kg、右利き。早稲田大学出身で、在学中は主将を務めるもノンレギュラー。それでも卒業後、夢を追いプロ転向。体力を武器に全日本選手権出場、ATPポイント獲得(最高641位)、国内ランクを25位まで上げるなど飛躍を遂げる。ITFツアーではダブルスで2度優勝。YouTube登録者数は27000人。所属はフリー。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年8月号より再編集
【連続写真】小倉孝介のフォアハンドのエッグボール『30コマの超分解写真』
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