
まずは町田の勝利に専心「勝たせる選手になっていかないと」。森保Jで注目の長身DFは見据える「その延長線上で個人的な評価も上がっていけばいい」
2025年は天皇杯で頂点に立ち、クラブ初タイトルを現実にしたが、J1は6位で終わったFC町田ゼルビア。アジア・チャンピオンズリーグエリート(ACLE)との掛け持ちも含めて、複数のトーナメントを戦い抜く難しさを突きつけられたシーズンでもあった。
迎えた2026年。J1百年構想リーグとACLEに貪欲に挑む。2月6日に前者の開幕戦・横浜F・マリノス戦で良い入りを見せ、ここからの過密日程を乗り切る勢いをつけたかった。
ところが、当初スタメン入りしていたドレシェヴィッチが試合開始直前に体調不良を訴え、岡村大八にスイッチするという予期せぬアクシデントが起きた。
それでも岡村、昌子源ら経験豊富な守備陣を中心に意思統一を図り、開始8分にエリキが幸先良く先制点を奪う。
この場面では、渡辺皓太の縦パスを3バック右の望月ヘンリー海輝が鋭く反応し、ダイレクトでネタ・ラヴィにつなげたのが始まりだった。そこからエリキに渡り、一気に持ち込む一撃ということで、チーム全体に弾みがついたのは間違いない。
「あそこは(増山)朝陽君が一歩前に出ていて(相手のパス)コースが限定されていたので、自分が潰しにいく状態になっていて、そこにボールが来た。ネタにうまくパスを出したら、エリキが決めてくれたという感じです」と、192センチの長身DFは振り返る。
直後にPKを献上して1-1に追いつかれたが、町田はさらに効果的に加点。エリキと相馬勇紀が得点し、前半終了時点で3-1とリードを広げたのだ。
そこで目立ったのが望月の守備。横浜FMの左サイドには快足FW宮市亮が陣取っており、何度かマッチアップすることになったのだが、望月は一度も縦に行かせることなく完封。しっかりと守り切ったのである。
「宮市選手はすごく速い選手なので、常に裏を警戒しながらやっていました。朝陽君との連係もハッキリしていたし、準備したことをしっかり発揮できた前半だったと思います」と、背番号6は手応えを掴んだ様子だ。
昨季途中から3バック右で出るケースが増えた望月。右ウイングバックでプレーする時以上にノーミスの対応を求められているが、その意識は日に日に高まっている印象だ。特に宮市のようなキーマン封じに成功したのは、2026年北中米ワールドカップを目ざすうえで、確かな前進と言っていい。
「常に勝ち続けているチームにいない限り、(代表に)呼ばれることはないと思う。チームが勝たないと自分の評価も上がらない。チームを勝たせる選手になっていかないといけないですし、その延長線上で個人的な評価も上がっていけばいいと考えています」と望月は冷静にコメントしていたが、本当にその通りだろう。
北中米W杯に挑む日本代表のDF争いは目下、熾烈を極めている。ウイングバックと3バックを兼務できる万能性と規格外のフィジカルが望月の魅力だが、欧州での実績や経験値という点ではやや劣る。だからこそ、Jリーグで頭抜けたパフォーマンスを見せ続けるしかない。その一歩としては、まずまずのスタートだったのではないか。
結果的に町田は3-2で競り勝ち、白星発進できたが、欲を言えば、後半の1失点は何とか防いでほしかった。67分、望月が加藤蓮のマークに行った瞬間、天野純に背後に抜け出されてボールが渡り、さらに加藤にリターンパスを入れられたのだ。ポケットを取られたことで守備のズレが生じ、最終的にジョルディ・クルークスの一撃を浴びた。そういう見方もできるだろう。
「守備のスライドをすることによって間のスペースが空いたので、それが失点の1つの要因だったかなと思います。自分も(加藤のパス出しの時に)股を抜かれましたし、難しいんですけど、もっとやれることはあったのかなと感じています」
ほんの一瞬の隙が失点につながる怖さを、彼自身もよく分かっているはず。W杯となれば、その重要度は計り知れない。この失点シーンはすべて望月の責任というわけではないが、相手にゴールを与えないことに対しては徹底的に取り組まなければいけない。
先制点の起点となるインターセプト、宮市封じという前向きな面が見られた試合だっただけに、この課題を真摯に受け止めることが肝要なのだ。
日本代表の3月の欧州遠征までが望月にとってのラストチャンスと言っても過言ではないだけに、横浜FM戦からACLEを含めた連戦でグングン調子を上げていくしかない。森保一監督に「望月が絶対に必要」と思わせるくらいの鬼気迫るプレーを見せること。それを今の彼に強く求めたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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