第51回衆院選(定数465)の投票が2月8日20時に締め切られ、自民党が単独で過半数(233)を大幅に上回り、300議席に達する可能性があるとNHKが報じた。連立与党のパートナーである日本維新の会と合わせると、衆院全体の3分の2(310議席)を確保するとみられる。一方で、野党第一党の議席数を持っていた中道改革連合は、選挙前の172議席から半減する見込みだ。「高市人気」に沸き、自民大勝に終わった今回の衆院選。今後の日本政治はどこに進んでいくのか――。
“大義”がはっきりしないという指摘も相次いだが…
今回の選挙、自民が単独で3分の2を上回る情勢。中道は激減、維新と国民民主はほぼ横ばい、参政、みらいは議席増の見込みだ。
「高市早苗が総理大臣でよいのかどうか。主権者たる国民の皆様に決めていただく」
1月19日に総理官邸で行なった記者会見で、そう語った高市総理。政権発足以来6~7割と、高水準の支持率を誇ってきた高市政権。党幹部にすら根回しすることなく、異例の“1月解散”に踏み切った。
「そのハレーションは少なくありませんでした。2026年度予算の年度内成立が極めて困難になったほか、極寒の雪国では選挙活動上の困難が相次いで報告されました。高市総理は今回の衆院選を自身への信任を問う選挙だと強調したが、“大義”がはっきりしないという指摘も相次いだ。総理自身、政策面でのブレも目立ちました」(自民党関係者)
代表的なのが、「消費減税」を巡る議論である。今回の衆院選において、新党・中道改革連合が「恒久的な食料品の消費税ゼロ」を打ち出したのに対抗し、自民党も公約として「飲食料品の消費税率を2年間ゼロ」を目指し、超党派の国民会議で「検討を加速する」方針を打ち出した。
高市総理自身、消費減税を「私自身の悲願」と語り、「2026年度内を目指していきたい」と述べていた。しかし、国際金融市場が日本の財政悪化を懸念したことから、日本国債の長期金利が急上昇するなど、マーケットには一時的な警戒感が広がった。
「衆院選期間中の演説で、高市総理が減税政策について言及することはほとんどなくなりました。ネット配信番組で『食料品の消費税ゼロについても検討を加速すると打ち出している』とわずかに触れるのみだった。
高市総理が、各政党の党首が集まるNHKの討論番組『日曜討論』を欠席したことも物議をかもしました。欠席の理由は『手の治療』ということだったが、その後の遊説活動は予定通り行っており、疑問の声もあがりました」(同前)
最低ラインクリアでどこまで議席を伸ばせるか
衆院選中には「しんぶん赤旗日曜版」や「週刊文春」が、高市総理と旧統一教会との関係についての疑惑を報じた。こうした中で、高市総理が2月5日の街頭演説で「私をつぶしたい人はいろんなことやってくる。テレビや週刊誌で“なんてこと言っているのだろう”というぐらい、あの手この手で攻めてくる」などと反論する場面もあった。
政策面や言動をめぐり、高市総理の不安定感も露見した選挙戦だったわけだが、それでも、「女性初の総理」の人気は不動だった。共同通信が1月31日から2月1日にかけて行なった世論調査では、支持率は前月比0.5ポイント増の63.6%だった。
最大野党の立憲民主党と、公明党が結党した「中道改革連合」は支持の広がりに欠け、公示前の167議席を大きく下回りそうだ。他の政党も今ひとつの結果で、高市人気にあやかった「自民一人勝ち」と言っても過言ではない状況だ。国民民主党はほぼ横ばいに終わり、躍進したのは参政党とチームみらいだけだった。
詳しい開票結果は今後判明するが、自民党の獲得議席数によって、今後の国会運営は大きく異なってくる。すでに与党で過半数(233)を確実にしていることから、衆院で法案を通す最低ラインはクリアしたことになる。
さらに「安定多数」となる244議席に到達すれば、衆院における17の常任委員会の全委員長ポストを、与党が独占できる。
高市総理は衆院選期間中の街頭演説でも、衆院予算委員長のポストを野党に握られていることに言及し、「私にばっかり当たる」と不満を漏らしていた。さらに「絶対安定多数」(261)に届けば、委員長ポストの独占に加えて、すべての委員会で過半数の委員を与党が占める。
そして、与党で衆院定数465の「3分の2」にあたる310議席を獲得できれば、未だ少数与党の状況が続く参院において、法案が否決された時にも、衆院の再可決で成立させることができるようになる。憲法改正を巡る国民投票の衆院側の発議要件も満たすことになる。

