
「日本人だろうが関係ない」ヘント加入後即デビューの橋岡大樹が新天地で示す“リーダー像”【現地発】
伊藤敦樹が所属するベルギー1部のヘントに今冬、チェコ1部スラビア・プラハから橋岡大樹が期限付き移籍で加入した。
移籍市場最終日の2月2日に加わったばかりの橋岡は、7日のベルギーリーグ第24節・ルーベン戦(1-3)にさっそく出場。4バックから3バックにシステムを変えた77分からピッチに入り、右のCBを務めた。
アディショナルタイム10分も含め、まとまったプレータイムを得たなか、攻め上がってきた右SBデイビス・オポクに2度続けてスライディングで突破を阻止するなど、そのキャラクターをファンに見せつけ、攻撃面では時折り右サイドを駆け上がった。
「(チームが反撃体勢に入った)イケイケの難しいときに3バックに入って、上がっていいのか、上がっちゃダメなのか、というのがあったので、僕はちょっと後ろ気味にプレーしました。ボールにはちょくちょく触ったんですが、前の方であんまり触れませんでした。練習から自分の良さを分かってもらってドンドン出していきたい。仕掛けてクロスを上げたりして攻撃に絡むこと、守備では相手に絶対やらせないことを基本的にやれればいいかなと思います」
橋岡は「ヘントの選手は個の力が間違いなくある」と言う。しかし、ハーフタイムのロッカールームで、チームに足りないものを感じ取り、新たなチームでの自身の役目も自覚した。
「ハーフタイムに、選手同士がもっとディスカッションするとか、誰かが『こんなんじゃダメだ。もっとやろうぜ』と声をかけたりすることがなかった。今日、初めてベンチに入り、そのことをすごく感じました。そして、すごく若い選手ばかり。僕は26歳で上のほうなので、日本人だろうが関係なく、声を出してチームにエネルギーを、活気を与えられる存在になりたいと思う。プレーはもちろん、プレー以外の面でも、普段の練習からそういうことをやっていければと思います」
2022年1月から24年1月まで、シント=トロイデン(STVV)に所属した橋岡は何度もヘントと対戦してきた。当時と比べて、ヘントは何か変わっただろうか。
「若くなったんじゃないかな。でも若くても力のあるチームだと思う。今日みたいな苦しい展開の中で、1回、下を向いているときに誰が上を向かせるか。『みんなで1つになってやろう』というのを言えるかというところ。そこをすごく感じましたね。だから、僕は今後、そういうところも担っていこうと思います」
この日のヘントのスタメンの年齢構成を調べてみると、最年長が32歳のGKデイビー・ルーフ。一方フィールドプレーヤーは、一番若い選手がDFマクシム・パスコチ、DFマティース・フォルカールトの23歳。一番上は伊藤とFWビルフレッド・カンガの27歳という、かなり中堅層の厚いチームだ。以前、橋岡がSTVVの一員として対戦したときのヘントには、スベン・クムスという別格のMFがいた。さすがに“第2のクムス”を今の選手に託すのは酷だが、ともかくリーダー不在というのは確かだろう。
控えメンバーは本当に若い。9人のうち17歳が1人、20歳が3人、21歳が3人、23歳が1人。26歳の橋岡とジェネレーションギャップがありそうなくらいだ。リーダー不在とベンチの若さ。それが逆境時のピッチ上の雰囲気や、ロッカールームの空気を作るのだろう。
「誰かがもっと『(語気を強めながら)ボールをくれ!ボールをくれ!』と言わないといけないなと思いましたね。そこはすごく感じました」
買い取りオプション付きでスラビア・プラハから期限付き移籍した橋岡は、どのような経緯でヘントに加入したのだろうか。
「ヘントが『欲しい』と言ってくれました。そして僕は出場機会を得るために来ました。ヘントがいいチームというのは分かっていましたし、ベルギーリーグのことも分かっている。自分がどういうプレーをできるかベルギーでまた見せたい。その思いで帰ってきました」
ルートンではプレミアリーグ、チャンピオンシップ、そしてスラビア・プラハでチェコリーグとチャンピオンズリーグを経験した。この4つのリーグで得たものは?
「いい時期も悪い時期もありました。試合に出ないという経験をしたことがなかったので、選手としても人としても成長できていると思います。試合に出られなくて諦める人もいますけれど、僕はまだまだ自分の夢を追いかけてやっているので、どんなことがあっても折れずに、投げずにやりたいです」
その夢とは?
「夢はワールドカップで優勝することだったり、チャンピオンズリーグで優勝すること。そこに一歩でも近づけるように毎回、やっているつもりです」
今回の対戦相手であるルーベンには明本考浩、そしてヘントには橋岡&伊藤がいるというのもあり、SNSでは元浦和レッズ勢の集合に賑わっていた。
「アキくん(明本)とは少し話をして『ずっと試合に出ている』と言っていたので、頑張っているなと思いました。伊藤敦樹選手と僕は(レッズアカデミーの一員として)中学校のときから知っている仲。(今後のヘントは)レッズサポーターからしたら熱い見どころになると思います。橋岡・伊藤でこのヘントを強くしたり、盛り上げたいと思います」
取材・文●中田 徹
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