中国では間もなく春節を迎えるが、今年は2月15日から23日までの9連休と、史上最長クラスの大型連休となる。この時期は例年、中国からの観光客が大量に来日し、観光地や百貨店が「春節特需」に沸くのが恒例だ。
しかし今年は、その構図が変わることになる。日中激突による渡航自粛令や中国国内の景気減速などを背景に、中国本土からの訪日客は激減。9連休という好条件にもかかわらず、大幅な回復は期待しにくいという見方が大きい。
そこで目を向けられているのが、台湾からの旅行需要だ。日本にとって台湾は距離が近く、治安はよく、親日的な国民感情が強い。短期間でも旅行しやすく、リピーターが多いことから、安定した送客市場として知られている。
いわゆる「台湾有事答弁」が日本のメディアで取り上げられる機会は増えているが、政治・安全保障と観光は切り離して受け止められる傾向が強い。台湾は現在も通常の旅行先として扱われており、航空便やツアー販売は通常運転だ。そのため、日本国内で「台湾は危ない」という空気は広がっていない。
中国や韓国とは異なり、台湾は外交問題を理由に、観光を政治カードとして使う構造が弱く、旅行自粛ムードが起きにくい。親日世論は根強く、日本では「台湾=近場で安心できる海外」というイメージが定着している。
春節9連休という大型商機に、中国人客には期待できない今年、日本の観光・小売業界にとっては、台湾からの旅行者の取り込みが現実的な成長戦略となる。高リピート率と好感度を持つ台湾インバウンドをどこまで取り込めるか。それが今年の春節商戦のカギを握っているのだ。
(旅羽翼)

