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29歳、元キラキラ女子の“なれの果て”。冴えないスーパー店員と結婚…その理由に共感できる?【戸塚の女・塚本優梨愛29歳#3】

29歳、元キラキラ女子の“なれの果て”。冴えないスーパー店員と結婚…その理由に共感できる?【戸塚の女・塚本優梨愛29歳#3】

【何者でもない、惑う女たちー小説ー】

【戸塚の女・塚本優梨愛29歳#3】


(写真:iStock)

 奈江は、かつての遊び友達で恋敵の優梨愛の新居を訪れる。誰もが振り向く華のある優梨愛だったが、結婚と出産を経て所帯じみた容貌になっていた。奈江はこの生活に不満がたまっていそうな優梨愛を救おうと夜の街に誘いだす。【前回はこちら】【初回はこちら

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「経営者飲み」に子供連れって…

「食事会…?」

 優梨愛の瞳が大きく開いた。

「うん。南麻布。ひさびさに羽伸ばしに行くのもいいんじゃない?」
「いやいや…服もないし、ちょっと太ったから恥ずかしいよ」
「えー、そんなことないって。まだまだ全然イケる。服は貸すよ」

 奈江的には、好感触をおぼえた。嫌なら即否定するはずだからと。優梨愛は目を逸らした。きっと、内面で葛藤をしているのだと奈江は確信する。あと一押しだと感じた。

「子どもは、旦那さんに見てもらおう? いいでしょそれくらい」
「…ちょっと待って」

 優梨愛はリビングを出て行った。冷静になって答えを出すつもりなのだろうか。


(写真:iStock)

 奈江は、手持無沙汰になったため、スマホを手に取る。西本に返信しなければならない。考え抜いて送った短い返信に、一言だけ返ってきた。

『じゃあ23時に部屋で。多分遅れる』

 相変わらず淡白で、自分だけに都合いい男だと、苦笑いする。

 実は、奈江と西本は、恋人同士という言質がとれていない関係である。会えて2週間に一度。でも忙しい人だから、それで十分だった。自分は彼の心の支えであればいいと思っている。

「ごめんね」

 声に振り向くと、リビングの入り口に優梨愛が赤ちゃんを抱いて立っていた。

「ベビちゃんがうつぶせで寝ていたのが見えたの」

 タブレットのWEBカメラアプリを消しながら、優梨愛は笑う。トントンと、赤ちゃんを寝かしにかかりながら、全てがリセットされたような顔で優梨愛は奈江に尋ねた。

「で、何だっけ? ご飯会なら行きたいけど、子連れは難しいよね。できれば横浜近辺がいいな」

 その回答に、奈江は、優梨愛がずっと自分とうわの空で会話をし続けていたことを察した。経営者との飲み会とも、場所は南麻布とも、ちゃんと言ったはずだった。全く違うように伝わっている。

「うーん、それは、ちょっと」
「じゃあ、難しいかな。夫にも許可とらなきゃ。もう少しこの子が落ち着いたら、一緒にご飯しよ」

 その時、玄関ドアが開く音がした。

「たっだいまー」

配信元: コクハク

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