今季からF1に参戦するキャデラックは、2月8日(現地)に行なわれたNFLスーパーボウルでのCMにて2026年シーズン仕様のリバリーを公開。その斬新なカラーリングは多くの反響を集めている。
マシンは黒、白、シルバーという落ち着いた色でまとめられている。そして正面から見て左側は黒メインで暗めの印象を持たせつつ、右側は白とシルバーのグラデーションのようなデザインで明るい印象……異例の左右非対称カラーリングだ。
筋金入りのF1ファンであれば、左右非対称のF1マシンはこれが初めてではないことを知っているはずだ。1999年のBARは、奇しくもキャデラックと同じF1参戦初年度に左右非対称のカラーリングを採用して話題となった。
ただBARのそれは、キャデラックのように当初から戦略的に打ち出したものではなかった。あくまで不本意な形で、左右非対称にせざるを得なかったのだ。
左右非対称のBAR
ティレルを買収する形で1999年に参戦を開始した“ブリティッシュ・アメリカン・レーシング”ことBARは、チームを所有するブリティッシュ・アメリカン・タバコのブランドである『ラッキーストライク』『555』をPRすべく、ジャック・ビルヌーブのマシンをラッキーストライクの赤と白、リカルド・ゾンタのマシンを555のブルーに塗り、2台が完全に別のカラーリングとなったマシンを発表会でお披露目した。
しかしながらこれが規則で認められておらず、BARは妥協案として正面から見て左側を555カラー、右側をラッキーストライクカラーに塗り分けるという形をとった。塗り分けの境界となる部分は、ジッパーが描かれた。
なお、この年のBARはビルヌーブが開幕から11戦連続でリタイアを喫するなど散々なシーズンとなり、ノーポイントに終わった。翌年からはホンダエンジンを搭載して徐々に成績を上げていった。その後はホンダワークスチーム→ブラウンGP→メルセデスと変遷を辿った。
黒、白、シルバーのウエスト・マクラーレン
そして黒、白、シルバーという配色は、BARと同時期に活躍したウエスト・マクラーレンを彷彿させるという声もある。
ここ最近はチーム伝統のパパイヤカラーを採用しているマクラーレン。彼らは1970年代から長らくマールボロたばこのロゴが入った赤白ツートンカラーでお馴染みであったが、1997年からウエストたばこをメインスポンサーに迎え、イメージを一新。1998年、1999年にはミカ・ハッキネンがチャンピオンに輝くなど、強豪復活を印象付けた。なおこのカラーリングは2005年まで継続された。
ちなみにキャデラックのダン・タウリスCEOは、黒、白、シルバー(クローム)という配色とした理由についてこう説明している。
「デザインを考案する際、我々はその色が持つ意味について考える」
「我々にとって、黒は大胆で少し獰猛なイメージがある。白はアメリカの伝統的なレーシングカラーだ。それにフレッシュでクリーンなイメージだから、白を使いたかった。そのふたつのバランスが肝心だった」
「このカラーリングはチームのアイデンティティだ。キャデラックのエンブレムには赤・黄・青があるが、ハイパフォーマンスモデルではモノクロバッジを採用しているので、F1というモータースポーツの頂点に合わせ、ブランドのその要素を強調した。こうして黒・白・クロームを基調とするデザインに決まった」

