ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュア団体で起きた異例のアクシデント。表彰式でのスケート靴ブレード損傷問題は「単なる運営トラブル」のようにも映る。しかし、過去の五輪と比較すると、その性質は決して軽くない。
ロイター通信の情報によれば、大会組織委員会は、滑り止め加工された表彰台の表面が選手のブレードを傷つけた事実を認め、再発防止として表面交換を表明。さらに国際スケート連盟(ISU)と合意の上、ブレード研磨サービスや追加練習枠を提供するという。
迅速な対応だが、問題は「なぜ起きたか」だ。
過去を振り返ると、14年ソチ五輪では宿泊施設の未完成やインフラ不備が世界的に話題となった。しかしそれらは主に生活環境の類で、競技用具を脅かすものではなかった。18年平昌五輪では寒さ対策や移動動線(公共交通の利便性不足)が問題視されたが、競技結果への直接的影響は限定的だった。前回の北京五輪ではコロナ禍での感染症対策が選手に心理的負担を与えたものの、施設や競技環境に大きなトラブルはなかった。
それに対し、今回のブレード損傷問題は「競技用具に物理的ダメージを与えた」という点で異質だ。フィギュアでのブレードは、エッジ角や研磨状態が演技の成否を左右する“命”とも言うべきファクター。しかも、“事故現場”は本来リスクゼロであるべき表彰式という公式儀礼の場だった。過去大会と決定的に違うという点で見逃せない。
再発防止は表面交換だけで十分なのか。式典導線やスケートガード運用まで含めた見直しがなければ、本質的な解決とは言えないかもしれない。五輪は競技だけでなく、その空間の完成度も問われる大会だ。
表彰台が選手の準備を脅かす。この事実を、単なるトラブルとして処理してはならない。
構成●THE DIGEST編集部
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