
「一生に一度の大恋愛」という言葉があります。
しかし実際のところ、私たちは人生で何回「情熱的な恋」に遭遇するのでしょうか。
映画やドラマでは何度も運命的な恋が描かれますが、現実はどうなのかは意外と調べられてきませんでした。
この素朴な疑問に正面から挑んだのが、アメリカのキンゼイ研究所(The Kinsey Institute )のチームです。
1万人を超える成人を対象に、生涯で経験した「情熱的な恋」の回数を調査しました。
その結果、ロマンチックな想像とは少し違う、興味深い実態が明らかになりました。
研究の詳細は2026年の学術誌『Interpersona: An International Journal on Personal Relationships』に掲載されています。
目次
- 1万人に聞いてみたら「平均2回」だった
- 年齢・性別・性的指向で違いはあるのか?
1万人に聞いてみたら「平均2回」だった
研究は18歳から99歳までのアメリカ在住の成人1万36人を対象に行われました。
参加者に尋ねた質問はシンプルです。
「あなたはこれまでの人生で、何回、情熱的な恋に落ちましたか?」というものです。
その結果、平均は2.05回でした。
つまり、多くの人にとって情熱的な恋は「人生でだいたい2回」という計算になります。
内訳を見ると、14%は一度も経験していないと回答しました。
1回が28%、2回が30%、3回が17%、4回以上が11%という分布でした。
情熱的な恋は、心理学では恋愛の中核的な要素とされ、強い高揚感や没入感、相手への強烈な引力を伴う状態を指します。
これまで研究では、その始まり方や心理的影響は数多く検討されてきました。
しかし「一生で何回起こるのか」という基本的な問いは、ほとんど扱われていませんでした。
今回の研究は、その空白を初めて埋めたものです。
情熱的な恋は決して毎年のように起こる出来事ではなく、多くの人にとっては人生に数回の特別な体験であることが示されたのです。
年齢・性別・性的指向で違いはあるのか?
では、誰がより多く情熱的な恋を経験するのでしょうか。
分析の結果、年齢による差はわずかでしたが、高齢者のほうが若年層よりもやや多く経験していると報告しました。
これは時間的に経験の機会が多いという単純な要因に加え、情熱的な恋が若い時期だけのものではないことを示しています。
人生の後半にも、そのような感情が生まれる可能性は十分にあるということです。
性別では、男性が女性よりわずかに多く報告しました。
ただし、この差は大きなものではありません。
さらに詳しく見ると、有意な違いが確認されたのは、異性愛男性が異性愛女性より多く経験しているという点に限られていました。
同性愛者やバイセクシュアルの参加者との比較では、大きな差は見られませんでした。
つまり情熱的な恋は、性的指向を超えて広く共有される人間的体験であり、人口全体で見ても大きな偏りはないということです。
「情熱的な恋は何度もやってくる」と思う人もいれば、「人生で一度きり」と考える人もいるでしょう。
しかしデータが示したのは、そのどちらでもない現実でした。
多くの人にとって情熱的な恋は、人生でおよそ2回。
それは決して日常的ではないが、特別すぎる一度きりでもない、絶妙な回数です。
恋愛メディアが描く劇的な物語や、「運命の人はただ1人」という考えに影響を受ける現代において、この数字は一つの現実的な視点を与えてくれます。
情熱は人生に何度か訪れる可能性があり、その形も時期も人それぞれです。
もしかすると、あなたが経験した恋も、これから出会う恋も、統計の中の「その2回」の一つなのかもしれません。
参考文献
How often do people feel passionate love? Study finds about two lifetime loves
https://phys.org/news/2026-02-people-passionate-lifetime.html
元論文
Twice in a lifetime: quantifying passionate love in U.S. single adults
https://doi.org/10.54899/ijpr.v20i1.733
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

