2026年のバレンタイン事情を探ると、もはや「義務の匂い」をほとんど失いつつあった。生活者約6000人規模の調査では、7割が「義理チョコ文化は衰退したと実感している」と回答。かつて職場で恒例だった「とりあえず配る」光景は今や絶滅。その背景には、コロナ禍以降の対面機会の減少やハラスメントへの配慮、物価高による出費の見直しなどがあった。
贈る相手は「本命」や本当に親しい人に限定する傾向が強まり、プレゼントをする人自体も全体の約4割にとどまる。もはやバレンタインは「みんなで渡す日」ではなく「渡したい人だけが渡す日」へと再定義されつつあるのだ。
そんな変化の余波を受けているのが、夜の街である。例年、バレンタインはキャバクラにとって書き入れ時。特別ドレスや限定サービスを打ち出し、来店を促す恒例イベントだ。しかし今年はやや様子が違うという。
「義理チョコがなくなった分、チョコをもらう機会自体が減った男性は増えました。でも店でチョコをもらえば、家に持ち帰ることになる。『それ誰から?』と家庭内チェックが入るお客さんは多いそうです。リスクを考えて、イベント自体を避ける人はいますね」(都内のキャバクラ嬢)
かつては職場の紙袋に紛れ込ませて持ち帰ることができたが、義理チョコ文化の衰退により、カモフラージュがきかなくなった。その結果、バレンタイン当日の来店を控える常連客が出始めている。
キャバ嬢にとって、これは頭の痛い問題だ。バレンタインは売り上げを押し上げる重要な機会だが、来客数が読めず、用意したチョコが無駄になる可能性がある。事実、「今年は例年より控えめにしました」という声は少なくない。
義理が消え、本命だけが残る時代。ロマンを演出するはずの2月14日が、夜の街では思わぬ「慎重ムード」を生む結果に。甘いはずのバレンタインは、意外にもほろ苦い現実を映し出しているようである。
(カワノアユミ)

