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72歳でも現役バリバリ…藤波辰爾が今のレスラーに感じる違和感「すごいなって思わせる体をもう一度」

72歳でも現役バリバリ…藤波辰爾が今のレスラーに感じる違和感「すごいなって思わせる体をもう一度」

72歳になった今も現役レスラーとしてリングに立ち続ける藤波辰爾。新刊『マッチョ・ドラゴン式トレーニング 古希でも闘える体づくり』では、中高年でも実践できる体づくりを紹介している。かつてのプロレス界が求めた“見せる体”の美学、そして年齢を重ねても動き続ける理由とは何か。藤波が語った。

 最近のレスラーの体を見て思うこと

——今回出版された『マッチョ・ドラゴン式トレーニング 古希でも闘える体づくり』では、一般の中高年にもできるストレッチやトレーニングが紹介されていますけど、藤波さんの若い頃のプロレス道場というのは、“超人追求”のような過酷なトレーニングをされていたんですよね?

藤波 そうだね。僕がプロレス界に入った頃は異常だったもん。みんなレスラーひとりひとりに個性があってね。山本小鉄さんなんか、身長は170cmそこそこで一般の人たちともそんなに変わらなかったんだけど、胸板は厚いし、腕は太い、太ももなんか60~70cmぐらいあって、すごい身体してたもん。

――ミュンヘン五輪代表だった長州力さんも、新日本に入団した時、間近で見た山本小鉄さんを始めとしたプロレスラーの身体に驚いたらしいですもんね。

藤波 ひと目で「プロレスラーはすごいな!」って思わせる身体をしていたからね。だから山本小鉄さんからよく言われたのは、「お客さんはお金を払って見にきてくれているんだから、プロレスでいい試合を見せるのは当たり前。それ以前に、見せられる身体を作れ」ということ。それが口癖だったね。その言葉がまだ僕の耳に残ってますよ。

――だからこそ、藤波さんは72歳になった今も、「お客さんに見せられる体づくり」に励んでいるわけですね。

藤波 それは心がけているし、レスラーとして必要なことだよね。昔のレスラーはみんなデカかった。みんな身長は190cm近くあったし、体重は110kgぐらいあるのが当たり前だった。でも、今の時代はそういうレスラーらしい体つきっていうのは必要とされてないのかな?

――若いレスラーは、小柄で細マッチョみたいな人が多いですよね。

藤波 今の若い選手たちは動きは速いし、すごい跳び技をやったりするから、身体を大きくするっていう意識はあまりないのかもしれない。でも、リングに上がるだけで「レスラーはすごいな」って思わせるような部分を、もう一度考えたほうがいいんじゃないかなっていう気もするね。

――お客さんに裸を見せることへの美学でいうと、藤波さんはいまだに膝にサポーターをつけてませんよね。アントニオ猪木さんも引退するまでそうでしたけど、黒のショートタイツとリングシューズだけ。その辺もこだわりですか?

藤波 ケガの防止のためには、本当は膝のサポーターは付けたほうがいいのかもしれない。自分も何回か付けたことはあるんだけど、なんか違和感があるんだよね。リングに上がったら、自分の真の身体で勝負したいっていうのかな。考えてみたら、猪木さんもサポーター類はあまりしてなかったし、長州もしてない。われわれの世代は、そういう意識ってあるんじゃないかな。

気性的には猪木派でなく馬場派?

――まさにレスラーとしての美意識ですね。

藤波 こういうことを言ってると、これからサポーターをしたくてもできなくなっちゃうけど(笑)。僕や長州の世代っていうのは、そういう細かい部分に至るまで、猪木さんの影響を知らず知らずのうちに受けてるんじゃないかな。普段の練習に対する姿勢から、リング上での動き、息遣い。ファイト内容でも猪木さんの怒りであったり、相手との間の取り方だったり、どうしても似てくるんですよ。それはしょうがないね。猪木さんをずっと間近で見てきたわけだから。

――猪木さんも晩年までトレーニングは続けていましたよね。引退してからもよく走ってましたし。

藤波 日本のプロレスはお相撲から来たものだから、昔はあまり走るレスラーっていなかったんだけど、猪木さんは試合前に会場の周りをよく走ってたね。だから、僕らもよく走ってましたよ。

――いろんな面で猪木さんの影響を受けているわけですね。

藤波 自分は性格的には猪木さんのような気性の激しさがあまりなくて、馬場さんのような穏やかな感じなんだけどね(笑)。

――馬場さんも「生涯現役」とよく言ってましたからね。藤波さんも昔から現役を長く続けたいという思いがあったんですか?

藤波 いや、そういうことは考えてなかった。先輩方もみんな50の声を聞いたら引退という感じだったし、馬場さんが60歳でリングに上がっているのを見た時は、「うわ、すごいな。還暦でもリングに上がれるのか」と思ったからね。それが気がついたら、自分が還暦をはるかにすぎても続けているんだけど(笑)。

――「長く続けたい」と思うようになったきっかけはあったんですか?

藤波 きっかけというわけじゃないんだけど、60歳を過ぎてもまだ自分の体は動いたし。あとは、やっぱり「プロレスが好きだ」っていう思いが強かったんだよね。リングに上がることが好きだし、リングっていうのは僕にとって「パワースポット」みたいなもので、リングに上がると元気になるんですよ。

――リングに上がること自体が、年齢を重ねても元気でいられる秘訣みたいな感じですかね。

藤波 そうだね。だから試合数は少なくなったけど、「リングに上がる」という目標があるからこそ、トレーニングもがんばることができる。だから次の試合が決まることが、自分にとっての“ニンジン”だよね。それが自分のエネルギーになる。

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