『機動警察パトレイバーREBOOT』が原型? 新生第二小隊のデザイン秘話
『機動警察パトレイバー』のコミックを担当された漫画家のゆうきまさみさんによるアイデアメモからスタートした『パトレイバー』。
ゆうきさんのアイデアメモを目にした出渕さんがアニメ化に向けて動きだし、やがてキャラクターデザイナーの高田明美さん、脚本家の伊藤和典さん、1988年スタートの初期OVAシリーズ『アーリーデイズ』(1~6話)で監督を務めた押井守さんが加わり、原作者集団・ヘッドギアが誕生。以降、38年に渡り様々なメディアでの展開が続き、ついに新たなアニメシリーズがスタートする。
トークライブの冒頭では、ヘッドギアのメンバーから伊藤和典さんと押井守さんからのメッセージが寄せられ、戸谷さんと上坂さんがメッセージを代読した。
【脚本・シリーズ構成:伊藤和典さん】
『パトレイバー EZY』はTVシリーズからNEW OVAへの時間線上にある話です。
30年の時を経て、あいかわらずドタバタしている隊員たちに懐かしさや親しみ。あらたな面白みなどを感じていただければ幸いです。
私としては、アーリーデイズから劇場版へと流れる別の時間線を統合できないものか、という想いもあったりするのですが…… そういうの、いかがですか?
【押井守さん】
だいたい想像がつくような気がするんだけど…
ちょっとだけ期待しています。
ブッちゃん頑張れ!
以上です(笑)
押井守さんのコメントを代読した上坂さんはネットでまことしやかにささやかれている『上坂すみれの別名が押井守』という説に触れて、会場の笑いを誘いつつも、MCを担当したアニメライターの小林治さんから押井さんが監督を務めた2014年スタートの実写版『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』公開時に行われた出渕さんと押井さんの長時間におよんだトークライブの様子も語られた。
実は『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』よりも先に始動していたという『EZY』。
松倉さんによると「かなりの難産だった」とのこと。これまで監督が2回も交代しており、最終的に松倉さんから出渕さんに「この企画はキーマンになる人がいないとまとまらない」と監督就任を打診。出渕監督体制のもと、ついに完成へと至ったとのこと。
新生第二小隊については、キャラクターのベースとして、2016年に『日本アニメ(ーター)見本市』のEXTRAとして公開された『機動警察パトレイバーREBOOT』がデザイン元になっているとのことで、『REBOOT』に登場した1号機の搭乗者の男性隊員が桔平の、1号機バックアップの女性隊員が十和のデザイン元になっているとのこと。『日本アニメ(ーター)見本市』では全てのキャラクターを山寺宏一さんと林原めぐみさんが演じられていたため、『REBOOT』でも1号機の搭乗者を山寺さんが、バックアップを林原さんがそれぞれ演じられた他、女性の隊長も林原さんが演じられた。
林原さんが演じられた女性隊長がデザイン元になっていることもあり、『EZY』でも第二小隊隊長の佐伯貴美香を林原さんが演じられているが、実は林原さんは旧シリーズにテレビレポーターの桜山桃子役で出演されていた。
出渕さんは『EZY』の中で、佐伯貴美香が「昔、テレビで活躍していたレポーターの声に似てますよね」と言われるシーンを考えていたそうだが、これは林原さんに却下されてしまったとのこと。
紆余曲折を経て、制作された『EZY』。
制作は、出渕さんとは、劇場版3作目の『WXIII 機動警察パトレイバー』で総監督を務められた高山文彦さんを介して、古くからの付き合いだという松倉さんが所属するJ.C.STAFF。
J.C.STAFFのハイクオリティなCGは新たなイングラムはもちろん、指揮車やレイバーキャリアなどのメカにとどまらず、なんと第1話に登場する吉祥寺の町並みもCGで再現されているとのこと。
パトレイバーの醍醐味とも言える新しくもどこか懐かしい東京の町並みを最新のCGで描きながらも、セル画で描かれていた旧シリーズの質感さえも感じさせる技術は往年のファンも驚愕の出来となっていた。
『機動警察パトレイバー EZY』続編はある? 出渕裕監督が意欲を語る
1部、2部ともに上映会とトークライブで2時間近くの大ボリュームで実施された「機動警察パトレイバー EZY&SELECTIONS アニメ上映会&トークライブ」。
第2部のラストで出渕監督は「『パトレイバー』らしさって何だろうって考えた時、リアルさも大事なんですけど、初心に返って考えてみると楽しさこそが主軸だった」と語り、シリーズの展開については「『パトレイバー』は常に今の10年後を描く意識で制作している。旧作のキャラクターもリアルタイムでそれだけ歳を重ねていると思っていただけると……それ以上は言えません(笑)」と旧作のキャラクターたちが『EZY』に登場することについて含みを持たせた。
十和役の上坂さんは、シリーズのファンとしてあらためて熱い想いを語りつつ「『EZY』をきっかけに過去作にハマっていただけたら嬉しいなぁと思いますし、いろんな人が見てくれたらグッズがたくさん出ますし(笑)。そして、私はグッズを買い、コスプレ衣装を買い、新たな展開へと繋がるのではないかと思います」と締めくくった。
出渕監督から、あくまで個人の想いとしつつも続編の制作に関して意欲的なコメントも飛び出したトークライブ。
松倉さんからは「実現のためにはみなさんの並々ならぬ応援が必要」とも語られたが、往年のファンはもちろん、『EZY』で『パトレイバー』に触れる新たなファンの力も結集して、末永いシリーズ展開が実現されることを祈っている。
© HEADGEAR / 機動警察パトレイバー EZY製作委員会
(執筆者:斎藤ゆうすけ/90年代のアニメとゲームを愛するライター。系放送作家&シナリオライターとしても活動。ゲームやアニメ、小説や漫画原作などシナリオの企画・制作も多数担当。専門学校でメディア論やシナリオ講座の講義も。https://x.com/saito_you)
