堂々とルーティンを振り返った言葉がやけに頼もしかった。
松本裕樹(ソフトバンク)、大勢(巨人)を除く合宿参加中の全投手がブルペンに入った侍ジャパン合宿2日目。前回に続いて最年少メンバーとなる高橋宏斗(中日)はあまりキレのあるボールではなかったが、このように振り返った。
「今日の遠投と軽いブルペンは予定通りです。ブルペンでは傾斜の確認だけです。ピッチング練習でトラックマンを使わなかったのは、傾斜の確認だけで良かったからです。今日はボールの質とかは特に気にしていないです」
いつも端のブルペンを使っているよね、と尋ねると「まだ誰も投げていなくてサラだったからで、特に意味はないですよ」とにこやかに話すなど、2月1日のキャンプインから予定通りに進んでいるようだ。
この日はそれほど思い切った投球ではなかった。やや心配にもなったが、高橋にはしっかりとしたプランがある。
「チーム(キャンプ)では試合で投げてきたんですよ。沖縄で。だからある程度の身体はできあがっているので、今は仕上げた分の張りをとっている段階なんです。今日に関しては張りを取る一環として投げたという感じですね」
高橋の話を聞いていると、経験は大きいと感じずにはいられない。チームのキャンプインから侍ジャパンの合宿。そして、本大会へという流れをしっかり認識している。前回も代表に最年少でメンバー入り。初々しさ見せていた3年前より、幾分と成長を感じる部分がある。
ダルビッシュ有(パドレス)がアドバイザーとして合宿に参加し、学べる時間が多いというのは前回と同じだ。しかし、新しい知識への受け止め方や、代表合宿にて日本トップクラスの選手たちのピッチングを見ることや語らうことにおいても、高橋の器は大きくなっている。
高橋は話す。
「ある程度の流れが分かってることは自分の中でもすごくプラスに働いてるかなと思います。その吸収することに関しても賢くなったというか頭が良くなりました。数値などを見るにしても、種市さんは本当にすごい。回転数もそうですけど、スプリットの変化量なども」
今回のメンバーには高橋のほかに、宮城大弥(オリックス)や伊藤大海(日本ハム)も落ち着いた調整を続けている。初のWBC代表入りとなる曽谷龍平(オリックス)が「周りの人がすごすぎてガチガチに緊張して、置いていかれた感じ」と頭をかいた一方で、粛々と準備する2人の姿は経験の大きさを物語っていた。
井端弘和監督は「サウスポー」をポイントに挙げている。それだけに宮城は貴重な存在となり得るだろう。しかし、練習後の会見では宮城は淡々と落ち着いてこう話すのだった。
「(サウスポーは)僕だけじゃないですけど、色んな人が大事なところを任せられるピッチャーだと思うので、気を引き締めて全員で勝てたらなと思います。任された所でしっかりできるようにそれだけ準備してます」
前回大会はダルビッシュを旗頭にして多くの選手がWBCを初めて経験するメンバーばかりだった。しかし、今大会は大谷翔平(ドジャース)や山本由伸(ドジャース)、村上宗隆(ホワイトソックス)らメジャー組はもちろんのこと、高橋、宮城、伊藤。野手では牧秀吾(DeNA)、牧原大成(ソフトバンク)、源田壮亮(西武)など多くの経験者がいる。
いわば、これ以上にない武器をいかにして戦うかというのも、今大会を考えていく上での一つのポイントになるだろう。
「自主トレでやってきたことをそのまま続けているだけなんで、これからも継続してやるって感じですね」。
いつまでも堂々とした口ぶりの高橋ら経験者は今大会もやってくれそうな気がしている。
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
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