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横浜市立図書館が描く未来 AIと対話で広がる本との出会いの実証

図書館で本を探すとき、「タイトル」や「作者名」ではなく、「今の気持ち」から探せたら──そんなことを考えたことはないでしょうか。

横浜市立図書館で始まった新しい取り組みは、まさにその発想から生まれています。スマートフォンに向かって、今の自分の気持ちや関心を話しかけると、本を探すためのヒントが返ってくる。けれど、このサービスはAIが本を“選ぶ”ものではありません。あくまで、利用者の中にあるまだ言葉にならない思いを整理し、本との出会いを後押しする仕組みです。

便利さを追い求めるのではなく、「人が考えること」を大切にしながらテクノロジーを取り入れる。その姿勢に、図書館ならではのあたたかさを感じました。

本と人、人と知をつなぐ新しい対話のかたち。横浜から始まったこの実証実験は、これからの図書館のあり方を示しているのかもしれません。

図書館でAIを使うという選択の意味

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今回の実証は、横浜市立図書館がSHANRI株式会社と連携して進めている取り組みです。
その中で印象的だったのは、「AIで本を探せる」という目新しさそのものよりも、その使い方の姿勢でした。

このサービスでは、利用者が音声で話した内容をもとに、本を探すためのキーワードを整理・提案します。ただし、本そのものをAIが選ぶわけではありません。検索結果の表示や書誌情報の確認は、これまでと同じ図書館のデータベースに基づいて行われます。

つまり、AIは“補助的な存在”です。人の思考を置き換えるのではなく、まだ言葉になっていない気持ちを整えるためのサポート役として位置づけられています。

たとえば、「なんとなく前向きになれる本を読みたい」「最近少し疲れている気がする」といった曖昧な思いは、従来の検索窓ではうまく表現しづらいものです。タイトルやジャンルが分かっていれば探せますが、気持ちから本へたどり着くのは簡単ではありません。

そこで、会話を入り口にするという発想が生まれました。話すことで自分の考えが少しずつ整理され、キーワードとして可視化される。その結果として本と出会う。今回の実証実験は、そんな流れを目指しています。

ここで大切にされているのは、AIの“賢さ”よりも、人の主体性です。図書館は、本を貸す場所であると同時に、自分で考え、選び、学ぶための場所でもあります。新しい技術を取り入れながらも、最終的に選ぶのは利用者自身。そのバランスを丁寧に保っている点に、この実証の意味があるように感じました。 テクノロジーを無条件に受け入れるのでも、拒むのでもなく、どう共存していくのかを探る。その姿勢は、これからの公共サービスのあり方を考えるうえでも、ひとつの示唆を与えてくれます。

会話からはじまる、本との出会い方

では、実際にどのように本を探すのでしょうか。

使い方はシンプルです。手持ちのスマートフォンやパソコンから特設サイトにアクセスし、音声案内のオン・オフを選択します。そして、「こんな本が読みたい」「最近こんなことを考えている」といった気持ちを、自由に話しかけます。

入力された内容をもとに、AIが本を探すためのキーワードを提案。利用者はそのキーワードを選び、図書館の蔵書検索システムを通じて本の一覧を確認する流れです。気になった本があれば、詳細ページで内容や所蔵情報を見ることもできます。

特別な操作や専門知識は必要ありません。検索ワードを考え込む代わりに、まずは自分の言葉で話してみる。そこからヒントが返ってくるという構造は、これまでの検索体験とは少し違った感覚をもたらしてくれそうです。

従来の図書館検索は、タイトルや著者名、ジャンルが分かっている場合には便利ですが、「なんとなく読書をしたい」「今の気分に合う本を見つけたい」といった曖昧な状態では、言葉にするのが難しいこともあります。

今回のサービスは、その“迷い”に寄り添う仕組みです。声に出してみることで、自分の関心が整理され、思いがけない分野に気づくこともあるでしょう。

検索結果の表示や蔵書確認は従来の図書館システムを活用し、最終的に本を選ぶのは利用者自身。AIは入り口を整える存在にとどまります。

画面越しの会話から、図書館の本棚へ。デジタルとリアルをゆるやかにつなぐこの流れは、新しい図書館の入り口として広がっていきそうです。

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