近年、キャッシュレス決済市場は年々拡大しています。野村総合研究所※によると、2026年にかけてもキャッシュレス決済市場の規模は引き続き成長すると予測されています。さらに2025年12月、政府は「2030年にキャッシュレス決済比率65%を目指す」と方針を固めました。普段、私たちが何気なく利用しているキャッシュレス決済ですが、コンビニやスーパーといった日常消費の場面にとどまらず、これまで現金が当たり前だったさまざまな支払いシーンにも広がりを見せています。
今回は、2026年に向けてさらに拡大していくキャッシュレス決済の最新事情について、消費行動のプロである渡辺広明さんにコメントをいただきました。
【消費経済アナリスト 渡辺広明さん】
コンビニ店長をキャリアのスタートにバイヤーやメーカーのマーケターとして780品以上の商品開発に携わった経験から、消費者目線の現場とデータを掛け算し分かりやすいニュース解説など報道からバラエティまで幅広くメディアで活動中。
◆政府の「2030年にキャッシュレス決済比率65%を目指す」という方針について、どの様な背景があったと考えられるのか。
キャッシュレス決済を取り巻く環境自体が、以前と比べて徐々に変化してきたことも、目標設定の背景の一つとして考えられます。新型コロナウイルス流行による非接触ニーズの高まりが普及のきっかけになった面はありますが、その後も決済インフラや通信環境の整備が進んだことで、導入・利用する際のハードルは下がってきました。
その結果、特定の層や業態に限らず、さまざまな場面で利用しやすくなっています。
また、決済サービスの多様化や競争の進展により、利用者や事業者の選択肢が広がり「使えるかどうか」だけでなく、「どの手段を選ぶか」を考える段階に入りつつあることも、普及を後押ししている要因の一つでしょう。
こうした制度面や環境面の成熟を踏まえ、一定の普及を前提とした現実的な水準として、65%という目標が設定されたと考えています。
◆改めて、キャッシュレス決済のメリットを教えてください。
キャッシュレス決済のメリットの一つは、消費者・事業者・社会の三者それぞれにプラスがある点です。
消費者にとっては、支払いがスムーズになることで、現金を持ち歩かずに済む利便性に加え、レジ待ちや小銭のやり取りといった時間的ストレスを減らせるというメリットがあります。
事業者側でも、人手不足を背景に、レジ業務や現金管理の負担を軽減できる点は大きなメリットです。会計業務の効率化は、店舗運営の安定にもつながります。
さらに社会全体としては、現金流通にかかるコストの削減や、インバウンド対応の強化、経済活動の効率化といった効果が期待できます。
◆キャッシュレス決済の中でも、タッチ決済が特に便利だと思われる点。
日常の中で「キャッシュレス決済が楽だな」と感じる場面は確実に増えていますが、中でもタッチ決済は、スマートフォンを端末にかざすだけで支払いが完了するため、操作がシンプルでわずらわしい手順がなく、ちょっとした買い物ほどその便利さを実感しやすい決済方法です。
事前にチャージをする必要がないこともラクで、設定もカードをスマートフォンに登録するだけと簡単なため、一番使用しやすいキャッシュレス決済だと感じています。
◆ニュースレターにてお賽銭もキャッシュレス決済出来るという事例をご紹介いただきましたが、他に意外なキャッシュレス決済が出来る場所を教えていただけますでしょうか。
例えば、運転免許証の更新では、収入証紙の廃止に伴いタッチ決済などが導入され、現金以外の支払いを前提とした運用に切り替わりつつある窓口も見られます。細かな精算が不要になり、手続きがスムーズになる点は意外と大きな変化です。
また、給与の受け取りや結婚式のご祝儀といった場面でも、銀行口座や現金に限らず、キャッシュレスサービスを活用する動きもあります。「お金を渡す・受け取る」行為そのものが、より手軽で柔軟になってきている点が特徴です。
◆キャッシュレス決済について「セキュリティが心配」「使いすぎが不安」など踏み切れない読者に、安全な良い使い方についてアドバイスをお願いします。
キャッシュレス決済に踏み切れない理由として多いのが、「不正利用が怖い」「使いすぎそう」という不安ですが、実は意外と “コントロールしやすいお金”だと感じる場面も増えています。
例えば現金は落としたら戻りませんが、キャッシュレスなら利用履歴が残り、不正があればすぐに止められる点は大きな違いです。
使いすぎが心配な場合も、上限設定や通知機能で使った瞬間に把握できます。いきなり生活を変える必要はなく、まずはコンビニや電車など、現金を出すのが少し面倒な場面から使ってみることで、不安より便利さを実感しやすくなると思います。
◆渡辺様ご自身がJCBのタッチ決済で便利だなと感じた点。
JCBのタッチ決済を便利だと感じる理由は、国内だけでなく海外の利用シーンにもしっかりフィットしている点です。
また便利なだけでなく、充実した特典や高い安全性を重視した仕組みも備わっているため、今後も継続して利用したいと感じています。さらに、日本発唯一の国際ペイメントブランドという安心感は、初めてタッチ決済を使う人にとっても大きな魅力です。
※https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/kinyu_itf_202504/files/itf_202504_06.pdf
