
寝る前に少しだけSNSをチェックするつもりが、気づけばタイムラインを延々スクロール。
そんな経験がある人は少なくないはずです。
では実際、週に何時間くらいソーシャルメディア(SNS)を使うと「孤独感が強まりやすい」のでしょうか。
米国の大学生約6.5万人を対象にした米シンシナティ大学(University of Cincinnati)らの全国規模の研究が、その目安をかなり具体的に示しました。
それによると、週16時間以上がラインのようです。
研究の詳細は2026年2月15日付で学術誌『Journal of American College Health』に掲載されています。
目次
- 孤独は「珍しい例外」ではなかった
- 週16時間が目安、そこから「長いほど上がる」
孤独は「珍しい例外」ではなかった
研究チームが分析したのは、米国の120校以上に所属する18〜24歳の大学生6万4988人のデータです。
方法は観察研究で、全国調査に参加した学生に「典型的な1週間でSNSに何時間使うか」を尋ね、同時に孤独感も質問票で測定しました。
孤独感は「仲間外れにされたと感じる」「付き合いが欠けていると感じる」「孤立していると感じる」といった感覚が、どのくらいの頻度で起きるかで評価しています。
まず驚くのは、孤独が“少数派の悩み”ではない点です。
結果として、学生の54%が孤独を感じていると分類されました。
住まいでは、実家暮らしの学生のほうが、キャンパス内の住居に住む学生より孤独を感じやすい傾向も報告されています。
孤独は個人の性格だけで決まるというより、生活の導線や人と出会う機会の“設計”にも左右されやすい現象であると示されました。
週16時間が目安、そこから「長いほど上がる」
本題の「週何時間で孤独感が強まるのか」です。
研究では、SNSを週16時間以上(1日約2時間)使う層を「過度の利用」と位置づけ、そのラインが孤独感の高さと結び付いていました。
しかも、関係は一段だけではありません。
利用時間が増えるほど、孤独を訴える確率が段階的に上がっていく反応が示されています。
具体的には、SNSをまったく使わない学生と比べて、
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週16〜20時間:孤独を訴える可能性が19%高い
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週21〜25時間:23%高い
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週26〜30時間:34%高い
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週30時間以上:38%高い(最も多い利用層)
という結果でした。
ただし、ここで重要な注意点があります。
著者らは「SNSが孤独を生む」と断言はしていません。孤独だからSNSが増える可能性もあり、因果は一方向ではないかもしれないと述べています。
考え方としては、両方が絡む仮説です。
「SNSに時間を取られて対面の時間が減り孤独が強まる学生がいる一方で、孤独な学生がオンラインで支えを得ている面もあり得る」
さらに、自己申告なので利用時間を少なめに見積もった学生がいる可能性も指摘されています。
それでも、大学などの教育機関が「過度の利用」に目を向け、影響を伝えたり、時間制限を勧めたり、キャンパスでの交流機会を増やしたりすることには意味があると研究者は提言しています。
SNSの時間は「友達の数」より先に、あなたの余白を削る
この研究が示した目安は明快です。
週16時間(1日約2時間)を超えるあたりから、孤独感と結び付きやすくなり、週30時間以上ではその関連がさらに強まりました。
SNSが悪者だと言いたいわけではありません。
大切なのは、SNSが“つながり”を増やすのと同時に、対面の約束や雑談の余白を静かに削ってしまうことがある点です。
もし最近、タイムラインを閉じた後にだけ孤独が残るなら、まずは自分の週の合計時間をざっくり数えてみるのが第一歩です。
孤独の正体が「気持ち」だけでなく「時間の配分」にも潜んでいるなら、変えられる入口もそこにあります。
参考文献
College students who spend hours on social media are more likely to be lonely – national US study
https://newsroom.taylorandfrancisgroup.com/college-students-who-spend-hours-on-social-media-are-more-likely-to-be-lonely-national-us-study/
元論文
Exploration of excessive social media use with loneliness among U.S. College students
https://doi.org/10.1080/07448481.2025.2573108
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

