
元天才ヴァイオリニスト・青野一が、海幕高校オーケストラ部の仲間たちと苦楽を共にし、青春のアンサンブルを奏でるアニメ「青のオーケストラ Season2」(毎週日曜昼5:00-5:25、NHK Eテレ/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Leminoほかで配信)。第17話では、昴雪人のある問いかけをきっかけに、青野が父親との関係を見つめ直し、大きな決意をするまでが描かれた。ぎこちなく映った青野と昴の関係にも変化の兆しが見られ、心が沸き立つ回となった。(以降、ネタバレが含まれます)
■昴の問いかけが青野を戸惑わせる
参加者たちの演奏を細かくチェックし、満足いく音を出さない者がいれば何度もやり直させたうえで、全体演奏に移る。そうした巌虎玄六(CV.松山鷹志)の厳しい指導の成果は、ジュニアオーケストラの参加者たちが奏でる音に、確実に表れ始めていた。
巌虎の指導スタイルと、青野一(CV.千葉翔也)を一番後ろの席に座らせたことに納得いかない佐伯直(CV.土屋神葉)だったが、巌虎は佐伯の才能を買っているようだ。世界的指揮者の巌虎からマンツーマン指導を受けている佐伯を、青野は心底うらやましいと感じる。コンクール全国1位の昴雪人(CV.斉藤壮馬)ですら、巌虎に個人指導を受けたのは、自分から指導を頼んだ時だけだったという。
しかし昴からみれば、世界的ヴァイオリニストである父親から直接指導を受けてきた青野もまた、うらやましい境遇の持ち主だった。「天才の父親を持つってどんな気分?」そんな昴の問いかけに、青野は思わず眉をひそめる。さんざん父親のスキャンダルに振り回され、苦しみを味わってきたのだから当然だろう。
昴の問いについて考えるうち、青野はジュニアオーケストラの練習曲である「交響管弦楽のための音楽」を作曲した芥川也寸志も、自分に似た境遇を持っていたことに思い当たる。芥川也寸志も偉大な父親・芥川龍之介の存在に苦しんでいたかもしれない。そこでふと、昴が曲の解釈を深めようとして、自分にあんな質問をしたのではないかと考える。
■偉大な作曲家と青野を繋ぐもの
青野の考えは当たっていた。練習の帰り道、青野は昴を引き留めて、彼の質問への答えを話し始める。自分を苦しめた父親と尊敬させてくれる父親、自分にとって父親は2人いるような感覚だと語る青野。その言葉を聞いた昴は、曲に対する新たな視点を与えてくれた青野に感謝する。
去り際、昴は青野に「青野君はお父さんを超えたいと思ってる?」と尋ねるが、青野は即答できなかった。今までそんなことは考えもしなかったからだ。「分かりません」と返す青野に昴は、二世としての苦しみは青野君が一番よく分かるはずだと語りかけるのだった。
佐伯ばかりを気にかけ、青野を軽視しているようにも見えた昴だが、今話では印象が一変。青野とのやり取りでは、音楽に対する真摯さと、青野に対する羨望や気遣いが垣間見られた。視聴者も同じ気持ちだったようで、SNSには「最初は青野のことをアウトオブ眼中な鼻につく感じがあった。でも今回、曲を知ろうとする向上心には素直に感心した」との声も見られた。

■父親を超えるため、今やるべきことは
昴の二度目の問いかけは、青野を父親の記憶と向き合わせ、父親を超えたいという強い決意へと導いていく。小桜ハル(CV.佐藤未奈子)から座席順の入れ替えがあると聞いた青野は、座席順を決定するためのオーディションに向けて、練習にいっそう打ち込んでいく。
佐伯と2人きりでの練習では、佐伯が巌虎から教わったという練習法に素直にならうと共に、音楽をのびのびと楽しむ佐伯に安心を滲ませた。さらに、ジュニアオーケストラの練習で教わったことを、子どもの頃のようにノートへ書き出すようになった。こうした青野の姿には、昴とのやり取りをきっかけに、またひとつ成長した様子が感じられた。
SNSには、「見たくなかったものと対峙して受け止め飲み込み消化する。乗り越えていく姿が良い」「父親の事、今までは避けていたのに、向き合って、親を超えるように、父親に習った事も含めて成長していく。格好良いね」「青野くん、お父さんのことを冷静に考えれるようになったなんて。成長したね!」「青野がお父さんを超えたい!って初めて思えたの、熱い!」などのコメントが多数到着。視聴者が青野の成長を心から喜んでいる様子が伝わってきた。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)


