
「やっぱり数字が欲しいですよ」ベルギー3年目の日本人MFが噛み締める“進化と成長の跡”。「ひとつ自信になっている」「ボックス・トゥ・ボックスが目標」【現地発】
試合から2日経っても、ベルギーメディアやSNSのコメントを通じてリンブルフ・ダービーの余韻が伝わってくる。9月28日、アウェーのヘンクが2-1の僅差でシント・トロイデン(STVV)を下した白熱の戦いは、レフェリーの判定に疑わしいところがあったことから、レフェリー委員会の見解に注目が集まった。
1)後藤啓介のゴールが取り消されたシーンでは、そもそもVARの介入は必要なく、ゴールは認められるべきだった。
2)ファン・ヘルデンの退場は、判定として正しいものだった。
後藤のゴールが決まっていれば、前半のうちにSTVVが2-0とリードを広げていただけに、チームにとっても本人にとっても残念な判定だった。
また、ヘンクサポーターが爆竹のようなものをピッチに投げ込み、試合が中断したことから、シント・トロイデン市長の怒りを買い「次のダービーは、アウェーのサポーターの来場を断るかもしれない」とコメントしている。過去のダービーでも多くの禍根を遺してきた両チームのクラッシュだけに、ヘンクのホームで行なわれるリンブルフ・ダービー(第29節)も大きな注目を集めることになりそうだ。
話は試合当日に戻る。場内の時計表示が101分3秒を指したところで試合終了の笛が鳴ると、STVVの選手たちはしばしピッチに倒れ込んだ。55分に退場者を出してから、10人で戦い続けたSTVVの選手たちにとって、フィジカルはもちろんのこと、メンタルにも非常に堪える惜敗だった。
試合後、センターサークル付近で円陣を組み、選手たちに熱く語りかけるワウター・フランケン監督の訓話はかなり長かった。DF谷口彰悟やMF山本理仁の話を合わせると、その内容は次の通り。
「このチームを誇りに思う。俺たちの姿勢、デュエル、前半やっていたフットボール――そのすべてが誇りだ。10人になるまでSTVVがヘンクを上回っていた。決して悲観することなく次に向かおう。ただ、勝ち切りたかった」
3連敗を喫したのはいただけない。それでも俯く必要はない。堂々と顔を上げてサポーターに挨拶し、ロッカールームに引き上げていけばいい――。そんな勇敢なSTVVの戦いぶりだった。
試合終了直後、山本の第一声は「めっちゃ疲れました」というものだった。立ち上がりからピッチの前後左右を幅広く走り回り、攻守に絡み続けたうえ、退場者が出てから山本のタスクはさらに増えた。
――ダービーをやってみて。
「雰囲気も最高でしたし、ホームだったので勝ちたかった。悔しかったです」
――今までで最高の入りだったのでは?
「そうですね。順位(4位→6位)もあると思いますし」
――期待感を感じつつ。
「はい。今年はより期待感を感じます」
インタビューの立ち上がりは一問一答。そこに疲労の濃さと悔しさが滲んでいた。しかし、ここら辺りで“心のクーリングダウン”が終わり、話は多岐に渡っていった。
「(退場者が出て)あそこで全員、厳しくなったと思いますけれど、決めるところで決めていれば...。僕自身、ふたつチャンスがありました。前半のうちに3点取れていれば、退場者が出ても焦ることなく試合を進めることができた。そこも反省です」
特に40分、後藤のプレッシングに慌てたGKのミスキックを拾った山本が、1対1になったシーンは決めておきたかったが、詰めてきたキーパーにシュートを当ててしまった。とはいえ、リンクマンとして、ボックス・トゥ・ボックス型のMFとして、山本の調子の良さも光ったゲームだった。
「でも、やっぱり数字が欲しいですよ。数字が欲しいときだからこそ、そこにこだわってやっていきたい。ただ守備ができるようになったのが、ひとつ自信になっている。そこは継続してやっていきたい」
CB陣の手前でフィルター役となるのはもちろんのこと、「裏をかこうとする、さらにその裏をかく」のが守備者としての山本の真骨頂。34分、右ポケットを突いたヘンクのMFフロソフスキがSTVVの守備陣の不意を突くようなヒールキックで、フリーの伊東純也にボールを渡そうとした。その気配を察知した山本は、フロソフスキから遠ざかるようにパスコースを消してインターセプトした。
「相手が全然僕のことを見てなかった。たぶん、相手は(パスの出し先、蹴り方を)決めていたと思う。それを感じてました」
サイドでは、左SB畑大雅との1対1に集中しているヘンクのアタッカーに気付かれることなく忍び寄り、挟み撃ちしてボールを奪い切った。
「あの瞬間、『縦を消せ』とコーチングして行った。もし縦に行かれてしまったら大雅の責任。相手は俺のことを見えてなかったので、ターンするところを狙ってました。(守備で)掴めてきた部分があります。1対1の場面でも、昔より出力をしっかり出してボールを奪い切れている。そこは成長できていると思います」
攻撃面では、第5節のズルテ・ワレヘム戦(2-0で勝利)でゴールを決めている。ペナルティエリア中央にいる後藤に視線を送って、相手にクロスを蹴ると思わせ、左足を一閃させてニアに蹴り込んだ、技ありのゴールだった。
「あれがベルギー初ゴールです(笑)。(調子の良さもあり)取るべくして取れていると思います。今、そういう流れができているので、取るときに取らなきゃ、また取れない時期が続いちゃうと思う。だから、したたかに今日みたいなチャンスを決め切りたいです」
重馬場のピッチで行なわれた第2節のシャルルロワ戦(1-1の引き分け)では、MF伊藤涼太郎を追い越してボックス内に入りPKを奪った。ペナルティーボックスに侵入した際の迫力に山本の逞しさを感じたが、実際のところは駆け引きで奪ったPKだったという。
「あそこの場面では(DFの)前に入り切るのは厳しいと思った。相手の足の出し方がタックルしそうだったので、『先にボールを突つけば取れる』とPKをもらいに行きました。だから駆け引きで取ったPKなんです」
味方を追い越して、迫力あるプレーをするのは「今シーズン、自分に課しているところです」と山本は言う。
「デンダー戦(第3節/2-0で勝利)でレッドカードを出させたシーンも、一本のパスから自分が抜け出して後ろからチャージを受けてレッド、だった。そういうシーンが増えてきている。『ボックス・トゥ・ボックス(型のMF)』が目標なので、こういうプレーを続けていきたいです」
ヘンク戦では10人になっても山本はボックス・トゥ・ボックスを繰り返した。
「でも、(小声で)キツイっす。毎試合疲れて...。もう疲労困憊です」
それでもインタビュー開始時から比べると、表情はとても明るい。ここが今季の山本が好調を保ち続けていることのバロメーターなのではないか。今季これまでの映像や写真をチェックすると、周りを幸せにするような良い表情をした山本を見かけることがある。
「過去2シーズンより気持ち良く、楽しくやってます(笑)。監督から信頼してもらっているのを感じるので、それもプレーに出ているのかなと思います。1試合1試合、できることを自信に変えていけているので、それが表情やプレーで出せているのかなと思います」
とんちの効いた判断・アクションを効果的に攻守に反映させる山本は、見ていて楽しいテクニックと、気を付けて見てないと分からないような玄人好みのプレーを併せ持つ。そんな山本の個性と、全員が助け合う今季のSTVVのチームカラーがマッチした。
「本当に今年は良いチームだと思います。周りから見ていても去年とはまったく違うように見えると思う。僕は3シーズン目ですが、一番愛着のある、素晴らしいチームだと思います」
取材・文●中田 徹
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