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その日、スーパーが蕎麦屋になった【家そば放浪記】第290束:西友で買った奈良屋『池森秀一 X 奈良屋  奥会津・池森そば  二八の裁ちそば』453円(1人前227円)

その日、スーパーが蕎麦屋になった【家そば放浪記】第290束:西友で買った奈良屋『池森秀一 X 奈良屋 奥会津・池森そば 二八の裁ちそば』453円(1人前227円)

私のホームスーパーである「西友」が、九州の小売の雄「トライアル」の傘下になってから、チーム刷新よろしく、乾物コーナーの「そば棚」の商品が少し変わった。半分くらいはそのまま、半分くらいは一新といったところ。

その中でも、私の中で大きすぎる変化としては、あの「池森シリーズ」がレギュラーとして鎮座していること。

池森シリーズとは、無類のそば好きとして知られる音楽グループ「DEEN」の池森秀一氏が監修・コラボした干し蕎麦シリーズのこと。過去にも何度かとりあげているが、それらが大挙して私のホームへ雪崩れ込んできたのである。

【動画】実食時の動画もあるぞ。食べた瞬間、完全にヤラれてる……!

私が愛してやまない “福島の宝” こと奈良屋の乱切り蕎麦が、池森陣営とコラボしていることは、かなり前から知っていた。そして、今回取り上げる商品が「かなり美味いらしい」という情報も、実は得ていた。

しかしながら、それは、なかなか私の前には現れなかった。わざわざ、こちらから迎えに行くような真似はしたくなかった。あくまでも偶然の出会いこそが、当連載「家そば放浪記」のモットーだからである。

だが、奴は、来た。ついに、私の面前に現れた。商品名、パッケージに記されている文言をすべて書き起こすとこうなる。

「池森秀一 x 奈良屋 奥会津・池森そば 二八の裁ちそば」

表面には「池」と「奈」の赤ハンコが並んで押されている。それを見て、なぜだか私は嫉妬していた。愛する奈良屋が、池森さんと付き合っている……。そんな感情が心の中で渦巻いていた。

だからこそ、私は “あえて迎えに行かなかった” のかもしれない。知っていながら、知らないふりをしていたのかもしれない。彼らの熱愛を、見たくなかったから。でも──。

目の前に、彼らがいる。トライアルが送り込んだ、私への試練。いつまでも目を逸らし続けてはいけない。現実に立ち向かわなければならない。

私は、逃げない──!

デカい鍋に湯を沸かし……

4分ゆでて……

冷水(氷水)で冷やし……

完成。

して、そのお味は──

悔しいが、極上にうまい。

まず何から語ろう。

乱切りか。

乱切りは乱切りでも、もっとも “ちょうど良い” と私が思う1.9mm、2.4mm、3.5mmの組み合わせ。

そんな不揃いの麺の中で、突出した存在感を示しているのが、極太3.5の平たい麺。食感が実に楽しい。

次に味。

さんざん食感や喉越しで楽しませたあと、確実に伝わる “蕎麦の味”。最後の最後に、舌の上に蕎麦の味が残る感じだ。

乱切りの食感の時点で楽しいのに、蕎麦そのものの食感も見事。やはり氷締めしたからだろうか。コリっとした噛みごたえが、存分に「お店感」を醸している。

そう、「家そば」も「外そば」もない。これはもう「店そば」だ。それも極上の店そばだ。家にいるのに、「独創的な乱切り蕎麦屋」に来た気分だ。

1人前なんて少なすぎる。正直ペロリ。できることなら2人前いっちゃいたい。きっとそれもペロリであろう。

正直ヤラレタ。まいりました。なんだろう、この感情。恋人だと思っていた奈良屋を、池森という男に取られた感じ。でも……

うまいからOKです。

そう言える男に、私もなれた。正直、池森には、いろいろ思うこともあった。だが、こんな上出来な蕎麦を作られたら、そんなのどうでもよくなった。

こんな極上の作品が、西友で手に入るという世界線。福島に行かずとも、アンテナショップに行かずとも、近所の西友で「池森x奈良屋」が買えてしまう日常。

西友の店内では、いまだ「西友はトライアルグループになりました」みたいなアナウンスが流れている。西友は西友だが、品揃えをはじめ、着実にリニューアルした。

そんな変化の中でも、最大かつ、革命とも言える変化が「そば棚の一新」。トライアル傘下になった西友は、スーパーではなく「蕎麦屋」になった。

執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24

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