あの企画会議
あの日、会議の席で後輩が自分の名前で企画書を出したとき、背筋が凍りました。部長が「これ、すごくいいね。誰が作ったの?」と聞き、後輩が「私です」と答えたからです。
部長が「君、こういうの作れたんだ。なんか彼女(私)が以前に出してくれた企画と考え方が少し似てるね」と続けた瞬間、会議室にいた全員の視線がこちらに向いたのがわかりました。
誰も何も言いませんでした。でも全員が理解したのです。私が何をしていたか。
私は会議のあと後輩に「ちょっと話せる?」と声をかけました。何を言うつもりだったのかは自分でもわかりません。謝るつもりだったのか、言い訳をするつもりだったのか。後輩は振り向かずに「今日は忙しいので」と言いました。その背中は、もう私に企画書を見せてくれていた頃の背中ではありませんでした。
そして…
翌週、部長に呼ばれました。「あの企画、本当は誰が作ったの?」。嘘をつく気力はもう残っていませんでした。「後輩です」と答えると、部長は何も言わずにしばらくこちらを見ていました。その沈黙が、どんな叱責よりも重かったのです。
チームリーダーの候補から外されたと聞いたのは、その週の金曜日でした。社内の誰も、私に面と向かっては何も言いません。
後輩はもう私に相談には来ません。「センスあるよ」と褒めていた頃の自分が言った言葉は、全部本当でした。後輩に才能があることだけは、最初からわかっていたのです。それを一番近くで見ていたのに、称えるのではなく奪うことを選んだのは、私でした。
(20代女性・企画職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
