
「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」(11月14日[金]日本公開)に出演するジェレミー・アレン・ホワイトらキャストとブルース・スプリングスティーンが「第63回ニューヨーク映画祭」に登場。登場したスプリングスティーン、そして映画に出演するキャストについてのスペシャルリポートが届いた。
■ロック界の“The Boss”ブルース・スプリングスティーン
「ロックの英雄」「アメリカの魂」と称される歌手のスプリングスティーン。1949年9月23日、米ニュージャージー州フリーホールドに生まれ、1973年のデビュー、今もなおザ・ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニーと同列の現役で最も象徴的なロック・アイコンとして君臨している。
自分自身の生きる喜びや苦悩、葛藤、痛みや怒り、現代社会が抱える矛盾やさまざまな問題を歌い続け、1975年に発表された「明な日き暴走」が一大センセーションを巻き起こし、“The Boss”と称される存在となった。
1984年に「Born In The U.S.A」を発表すると、84週連続ベスト10入り、世界で3000万枚以上売り上げるヒットを記録した。
本作の舞台は「Born In The U.S.A」発表前夜、1982年のニュージャージー。世界の頂点に立つ直前、若き日のスプリングスティーンが成功の重圧と自らの過去に押しつぶされそうになりながらも、わずか4トラックの録音機の前でたった一人、静かに歌い始める姿が描かれる。
若きスプリングスティーンを、ディズニープラスで配信中のドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」でゴールデングローブ賞を獲得したジェレミー・アレン・ホワイトが演じる。
■ブルース・スプリングスティーン&主演のジェレミー・アレン・ホワイトらキャストが結集
「第63回ニューヨーク映画祭」スポットライト・ガラ部門での「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」プレミア上映では、ブルース・スプリングスティーンの地元ということもあり、彼のコンサートTシャツを着た多くのファンが詰めかけ、満員の会場は最初から熱気に包まれていた。
最もパーソナルで地味なアルバム「ネブラスカ」の創作の過程を通して、ブルースの内面の葛藤を描くとても淡々とした静かな語り口の作品でありながら、上映中には登場人物たちのさりげない会話で何度も笑いが起きるなど、観客が作品にとても集中しているのが感じられた。
特に、本作のクライマックスの一つと言えるマネジャーのジョン・ランダウとCBSレコードの重役とのシーンで、コマーシャル性に乏しいアルバム「ネブラスカ」に消極的な態度を示す重役に対し、ランダウがはっきりと「私たちはブルース・スプリングスティーンを信じている」と言い切る場面で、ブルースや彼の音楽を世界中で最もよく理解しているニューヨークの会場内に拍手喝采が湧き起こった。
上映後も多くの拍手に包まれ、スコット・クーパー監督が、「アドレセンス」でエミー賞リミテッドシリーズ部門主演男優賞に輝いた父親役のスティーヴン・グレアム、ジョン・ランダウを演じたジェレミー・ストロング、恋人フェイ役のオデッサ・ヤングらのキャスト、スプリングスティーンの盟友ジョン・ランダウ本人を紹介した。
そして、「彼は皆さんが想像する以上の存在です。彼がいなければ、私は今ここにいません」とブルース・スプリングスティーンを紹介し、続けて「初めて彼に会った時、私はこう言いました。「神話や象徴を剥ぎ取ろう。ブルース・スプリングスティーンという名を持つ一人の男を演じる。苦しむ男だ。だが我々が描くのは人間性、優雅さ、謙虚さ。そしてジュリアード音楽院では教えられないあの風格だ」と主演のジェレミー・アレン・ホワイトを呼び込んだ。
スプリングスティーンと熱いハグを交わした監督は、「率直に言って、今この瞬間は予想外だ。結婚や娘たちの誕生に次ぐ、人生で最も胸躍る夜の一つです。ブルース・スプリングスティーンに感謝を伝えたい。君を愛しているぜ、兄弟」と謝意を伝えた後、スプリングスティーンにステージを譲った。

■スプリングスティーンが「LAND OF HOPE AND DREAMS」をサプライズ披露
スプリングスティーンが歌ったのは「LAND OF HOPE AND DREAMS」。一人でステージに立ったスプリングスティーンは、穏やかな声で観客に語りかける。「最近、自分たちが今、こういった極めて危険な時代を生きているという事実を、日々の出来事が、私たちに思い出させてくれます。私はこれまでずっと、いわばアメリカの音楽大使として世界中を旅してきました。しばしば私たちが理想からかけ離れているというアメリカの現実との距離を測ろうとしてきたのです」と語り、「しかし、多くの人にとって、アメリカは恐怖や分断、政府の検閲や憎悪の国ではなく、希望と夢の国であり続けているのです」と締めくくると、ギター1本で、サプライズで「LAND OF HOPE AND DREAMS」を歌った。
この予想外の演出に満員の観客が大いに興奮したのは言うまでもなく、長年のスプリングスティーンのファンにとって、映画の中のジョン・ランダウと同様に、「ブルースを信じてきてよかった」と思わずにいられない一夜となった。

■主演のジェレミー・アレン・ホワイトをはじめとする俳優が結集
ブルース・スプリングスティーン役を託されたのはジェレミー・アレン・ホワイト。「一流シェフのファミリーレストラン」(ディズニープラス)でゴールデングローブ賞テレビ部門主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を3年連続、エミー賞主演男優賞(コメディ・シリーズ部門)を2年連続受賞、同賞で4年連続主演男優賞ノミネートの快挙を成し遂げている。また、ギター、ハーモニカ、歌唱トレーニングを続け、若き日のスプリングスティーンを体現している。
マネジャー、ジョン・ランダウには、「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」で悪辣な弁護士ロイ・コーンを怪演し、2025年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされたジェレミー・ストロング。また、ガールフレンドのフェイ・ロマーノにオーストラリア出身の俳優オデッサ・ヤング、先日発表された本年度エミー賞リミテッドシリーズ部門作品賞にノミネートされたNetflix「アドレセンス」の切実な演技で同賞主演男優賞を受賞したスティーヴン・グレアムが父親を演じている。

