F1はバーレーンテストの後半が進行中だが、ここでスタート手順の実験が行なわれる予定だ。
テストが進むにつれて、2026年型F1マシンではスタート手順への注目が高まった。理由はパワーユニットのMGU-H(熱エネルギー回生システム)が廃止されたことで、スタート時にターボを起動するためにエンジンを必要以上に回さなくてはならないことだった。
この時の手順のタイミングを少しでも間違えると、発進が遅れたり、マシンがアンチストールの状態に陥ったりする可能性がある。さらにグリッド後方のマシンは、グリッド位置に停止してからスタートが切られるまでに10秒も確保できない可能性も高いため、状況はさらに悪化してしまうかもしれない。
マクラーレンからはドライバーにより多くの時間を与えてグリッド上でターボを立ち上げられるよう、スタート手順の変更の提案も行なわれている。
ただこの案はフェラーリから冷淡な反応を引き出すだけだった。Motorsport.comの調べによれば、フェラーリは2025年を通じてこの問題についてFIAに照会していたものの、手順は変更されないと伝えられていたという。その結果、フェラーリはターボを適正なブースト圧まで持ち上げるのに必要な時間を短縮できるよう、独自の設計を行なったと考えられている。
ただスタート手順に大きな変更を加えることなく状況を改善するため、FIAはバーレーンテスト中、各日の走行終了時に異なるタイミング案を試験し、データとフィードバックを収集する方針も示している。
この問題は、2月18日にバーレーンで開催されたF1委員会の会合でも、FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスと、F1のCEOステファノ・ドメニカリの主導で議論が進められた。FIAによる声明は以下の通りだ。
「委員会の会合では、レーススタート手順を中心に建設的な議論と提案が行なわれた。その結果、現在行なわれているバーレーンテストの期間中に、レースシステムおよび車載マネジメントシステムのアップデートについて、さらなる評価を実施することとなった」
なおマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、コースのストレート上でエネルギーが尽きた際に極端な速度差が発生することについて、安全面での警鐘も鳴らしていた。しかし、現時点ではシーズン開幕前に即座の対応は行わず、2026年シーズン最初の数戦でさらなる証拠を集める方針が決定された。
「初期段階の証拠やフィードバックはまだ成熟しておらず、拙速な変更は開幕戦前の不安定さを増すリスクがあることから、直ちに大規模なレギュレーション変更を行なう必要はないと合意された。より多くのデータが得られ次第、追加の検証を行なう」と、FIAは付け加えた。
一方、フェラーリのルイス・ハミルトンは、こうした懸念を一蹴する姿勢を見せた。
「間違いなく危険ではない。『危険』という言い方はやめた方がいいと思う。単に手順が違うだけだから、そのニュアンスは無くしたほうがいい」
ハミルトンはそう語る。
「これまでより手順が長くなっただけだよ。仮に今すぐレッドシグナルを5つ点灯させたとしても、消灯するまでもう少し長く待つことになるだけだ。ターボが回っていなくても発進自体はできる。ただし、何度かアンチストールが作動する可能性はある。だからアンチストールが一部のドライバーにとって問題になるかもしれないが、危険だとは思っていない」
フェラーリPUを搭載するキャデラックのバルテリ・ボッタスも、同様の見解だ。なおキャデラックは新規参戦ということもあり、どちらかと言えば影響を受ける後方グリッドに沈む可能性も十分に高い立場だ。
「正直なところ、以前より危険だとは思っていない」とボッタスは語った。
「主な違いは、回転数を長く維持しなければならない点だ。そこは何らかの解決策を見つける必要があると思う。唯一の懸念は、グリッド後方にいる場合、信号がすでに点灯し始めていて、消灯までにターボを十分に回す時間が足りなくなることだ」
「それは明らかに後方スタートのドライバーだけの問題だ。それ以外についてはそうでもないだろう」

