「わかるよ」のつもりだった
彼女から相談のLINEが来ると、私はいつも自分の経験を話していました。「わかる、私もね」と返すのは、共感を伝えたかったから。同じような経験をしていると知れば安心するだろうと、本気でそう思っていたのです。
仕事がつらいと言われたら「私なんてさ、もっと大変でさ」体調が不安だと言われたら「私もこの前さ」というようにしました。彼女がいつも最後に「そうだったんだ、大変だったね」と返してくれることに、違和感を覚えたことは一度もありませんでした。あれは優しさだったんだと、気づくのに、私は10年かかりました。
「そういうとこだよ」と返した夜
ある日、職場の人間関係がきつくてLINEを送りました。「聞いてほしいんだけど、最近職場の人間関係がきつくて」と切り出した私に、彼女は「わかるー、私なんてさ」と返してきたのです。え、と思いました。私の話、まだ何も聞いてもらっていない。
苛立つままに「ねえ、私の話聞いてた? そういうとこ無理なんだけど」と返信しました。送った瞬間は正しいことを言ったつもりでした。いつも聞いてあげているのに、たった一回すら聞いてもらえないのかと思いました。
