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F1メカ解説|複雑化したエネルギーマネジメントへの対処法。マクラーレンが導入した新しいステアリング・ディスプレイ……力行/回生の表示はまるで電車??

F1メカ解説|複雑化したエネルギーマネジメントへの対処法。マクラーレンが導入した新しいステアリング・ディスプレイ……力行/回生の表示はまるで電車??

2026年のF1は、大きくレギュレーションが変更。特にパワーユニットの変更により、ドライビングスタイルも変えることを余儀なくされている。これに対応するため、マクラーレンはステアリングのディスプレイに改良を加えた。

 2026年のF1マシンは、シャシーに関しては概ね好意的な評価が大きい。マシンが小さく、軽量化されたことで、昨年までよりも機敏に動くようになったのだ。

 しかし一方で、パワーユニット変更によってエネルギーマネジメントがより重要になったことについては、賛否両論分かれている。ドライバーもチームも、電気エネルギーをより多く回生したり、無駄なく使ったりするための策を考えることを強いられているのだ。

 先日までバーレーンで行なわれたプレシーズンテストでは、コーナリング中により低いギヤを使ったり、ブレーキングゾーンのはるか手前でリフト&コーストを行なったりと、各メーカーの模索が垣間見えた。

 このエネルギーマネジメントをうまく行なうためには、ドライバーに対して今回生しているのか、それともエネルギーを使っているのか……それをわかりやすいように明示してやる必要がある。そのための改善を行なってきたのが、マクラーレンだ。

 2025年までのハイブリッド時代、ステアリングのディスプレイに表示されるインジケーターは、バッテリーの残量を示していた。これは、予選のアタックラップに向けて準備をする際や、決勝レースでホイール・トゥ・ホイールのバトルを制する時には、勝敗を分ける要因となる可能性があった。

 充電の重要性は、昨年まではあまり大きくなかった。今季からは廃止されることになったMGU-H(熱エネルギー回生システム)は、常にエネルギーを回生していたし、MGU-K(運動エネルギー回生システム)のサイズも小型で、使用するエネルギーの量も限られていたからだ。

 しかし今季からはMGU-Kの出力が3倍になるにも関わらず、バッテリーの容量は昨年までとあまり変わらない。その上MGU-Hでの回生ができなくなったため、MGU-Kのみで頻繁に回生を行ない、MGU-Kどこで使うのがパフォーマンス的に最も有効なのかを考えながら走る必要がある。

 この影響か、バーレーンテストの際には、高速コーナーのターン12の通過スピードが、約50km/h遅くなったという。このコーナーでのスピードを稼ぐよりも、ここで回生し、続くストレートでエネルギーをフルに放出した方が、ラップタイムは稼げるからだ。

 マクラーレンはこれに対応するため、他チームとは一線を画す、より細かいアプローチをしてきたのだ。

 ほとんどのチームは、ステアリングホイールのインジケーターに、バッテリー残量を表示している。しかしマクラーレンは、ふたつ目のインジケーターを追加。ドライバーが、現在の状況を瞬時に把握できるようにしている。

 バーが中央から右側に伸びている場合は、MGU-Kが作動し、エネルギーを使用している状態にあることを意味している。一方でバーが中央から左に伸びている場合には、MGU-Kが発電機の役割を担い、エネルギーを回生していることを示す。

 このインジケーターは、単純にオン/オフの2段階で表示するわけではない。MGU-Kがデレーティング(出力制限)の段階に入ると、インジケーターの長さが徐々に短くなっていく。そして次第にインジケーターがゼロを示すか、あるいは回生段階を示す左側にバーが移動する形となる。

 この方式は、何も新しいものではない。鉄道車両の中には、同様の状況を示したメーターを実装していた車両もある。針が右側に回ればエネルギー使用状態(力行)、左に回れば回生の状態を示す、そんなメーターが実装されていたものだ(近年のデジタル式ディスプレイの車両では、表示方式が変わっているが)。マクラーレンは、これと似たようなことを考えてきたということだろう。

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