
元天才ヴァイオリニスト・青野一が、海幕高校オーケストラ部の仲間たちと苦楽を共にし、青春のアンサンブルを奏でるアニメ「青のオーケストラ Season2」(毎週日曜昼5:00-5:25、NHK Eテレ/ABEMA・dアニメストア・ディズニープラス・Hulu・Leminoほかで配信)。その第19話が2月15日に放送された。今話では、いよいよジュニアオーケストラの座席順を決めるオーディションがスタート。佐伯直と昴雪人の演奏シーンがたっぷりと描かれ、それぞれの演奏スタイルを味わいつつ、音楽に対するスタンスの違いを音で感じられる興味深い回となった。(以降、ネタバレが含まれます)
■1stヴァイオリンの席はただ2つ
ジュニアオーケストラの座席順を決めるオーディションを間近に控え、譜面とにらめっこしながら演奏について考える青野一(CV.千葉翔也)。そこへ声をかけたのは先輩の羽鳥葉(CV.浅沼晋太郎)だった。ジュニアオケの様子が気になる羽鳥に、青野はぼんやりとだが目標ができたこと、昴という“すごい人”がいることを話す。昴との相性の悪さをこぼす青野に、羽鳥は青野なら上手くやれると労うのだった。
オーディション当日、青野は昴雪人(CV.斉藤壮馬)から1stヴァイオリンの席が2つしかないと聞かされる。実力なき者は蹴落とされる世界だと理解していた青野だったが、オーディション形式を知ると驚きを隠せなかった。ソロではなく2人1組で行うというのだ。
1stヴァイオリン希望者のオーディションでの組み合わせは、敦美公平(CV.河西健吾)と土井楓(CV.大渕野々花)、佐伯直(CV.土屋神葉)と昴、青野と小桜ハル(CV.佐藤未奈子)。一番手でオーディションを終えた楓は自信ありげな表情を浮かべていたが、敦美は無言でうつむくばかりと、対照的なリアクションを見せていた。
続いては佐伯と昴の番だ。昴は佐伯と一緒で嬉しいと口にするが、佐伯には、昴が自分よりも青野を強く意識していると分かっていた。図星を突かれた昴は、一瞬表情を硬くするも、すぐに余裕のありそうな笑顔に戻る。他者には遠慮ない言葉を投げかけても、自身の内には踏み込まれたくない。そんな昴の性格が窺える一幕だった。

■心から演奏を楽しむ佐伯
今話最大の見せ場はここから始まった。会場はオーディションとは思えぬ広いホールで、課題曲は芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」。ピアノ伴奏を務めるのは、多色の音を奏でることから“1人オーケストラ” の異名を持つ、山茶花音大の講師・常盤今日子(CV.清水理沙)だ。
第1楽章は2人で演奏し、第2楽章は1人ずつ指定されたパートを演奏するという流れで進行。観客席に座るのは、審査にあたる巌虎玄六(CV.松山鷹志)や須間忠(CV.田丸篤志)ら先生のみ。まるで演奏会のような趣が漂う中、佐伯は気負うことなく、ただ一心に演奏を楽しむ。
ソロ演奏になってもその姿勢は変わらず、いつも一緒に演奏している仲間たちの姿を思い浮かべながら、笑顔でヴァイオリンを弾く佐伯。これには巌虎も、完全に審査だということを忘れていると、苦笑いせずにはいられなかった。
いかにも佐伯らしい演奏スタイルに、視聴者からは「のびのび演奏できてる佐伯くんすごいぞー」「佐伯くんの楽しそうに弾く演奏、好きだわ~」との声が。巌虎よろしく、「オーディションなのに好き勝手やってて吹いた」と自由すぎる佐伯に口元をゆるませた視聴者もいたようだ。

■偉大な作曲家に自分の境遇を重ねて
圧巻だったのは昴の演奏シーンだ。自分の番になり、ふっと笑みを浮かべ昴は、自分の感情を音に乗せて全てさらけ出し、正確かつ迫力のある演奏で場を圧倒する。その根底には、親から音大付属の高校に行くことに反対され、進学にあたって厳しい条件を課された過去があった。そして、抑圧や壁を乗り越えてきた自分と、戦時下に音楽を学べなかった芥川を重ねていたのだ。
伸びゆく新芽が、地中でみるみる成長し、美しい花を咲かせる。そんなイメージと共に、“新時代の喜びの曲”を全身全霊で奏でる昴。やがて、昴の演奏はピアノをリードする格好となるが、決して合わせにくさを感じないことに常盤は二度驚かされる。
楽しさと喜びにあふれているような佐伯の演奏と、激しい渇望を感じさせるパワフルな昴の演奏。音楽のプロでなくとも、はっきりと両者の違いが分かる演奏スタイルに、思わず聴き入らずにはいられなかった。

■次に控えるは青野とハルのカップリング
音楽が題材である本作の魅力を、存分に味わえた今話。SNSには、「ピアノ×ヴァイオリンの圧巻の演奏でした~!」と素晴らしい演奏を満喫した声や、「昴先輩回でうれしかったな~言ってることがぜんぶかっこいい」と“昴回”を喜ぶ声が寄せられた。
次いでオーディションを受けるのは、恋愛面でも目が離せない青野とハルのカップリングということで、「ハァ来週までのお預けか」と次回放送を待ちきれない視聴者も。「次は果たして期待ができるか」との、ラストシーンでの巌虎のつぶやきも気になるところだ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)


