「自分の人生を自分で動かす」キャバクラで感じたはたらく自由
──アルバイトではなく、キャバクラではたらくという道を選んでみて、仕事に対して率直にどう感じていますか?

想像以上に、自分でつくる仕事だと感じています。華やかな世界に見えますが、実際は売上目標が細かく設定されていて、その数字から逆算して「今日は何組呼ぶか」「どう提案するか」まで、すべて自分で考えなければいけません。
はたらき方は週6勤務で、20時からアフターがあれば翌朝4〜5時まで飲酒を伴う接客が続きます。売上をつくるためには、365日お客さまに連絡を取り続ける地道な積み重ねも必要です。
キャバクラの仕事は、お客さまとのコミュニケーション量が成果に直結するので、限られた時間をどう使うかが鍵になる。私は仕事の工夫として、移動は基本タクシーを使い、その時間にお客さまへ連絡を返したり、アフターの段取りを考えたりと、業務時間としてフル活用しています。効率よく時間を使い、いかに多くの方との接点をつくるかという意味では、営業パーソンの発想に近いと思います。
私自身も、キャバクラに入る前は「キャバ嬢の“頑張る”ってなんだろう?」と思っていましたが、はたらき始めて一気に認識が変わりました。学生時代にラウンジではたらいていたころとは、必要な熱量がまったく違いますし、忍耐力や自己管理が求められると感じています。
──これまでのご経験が、現在の仕事に活きていると感じる瞬間はありますか?
ビジネスや仕事の話ができるのは、これまでの経験があってこそですし、ほかのキャバ嬢にはない強みにもなっていると思います。
大学時代はインターンで新規事業の立ち上げを経験し、前職のコンサル時代は経営者や事業家の方々と議論する機会が多くありました。
キャバクラに来てくださるお客さまの中には、「飲みの場でも仕事の話をしたい」といった層が一定数いて。その日の状況によっては、営業時間内ずっと隣で話しながら、長時間ディベート状態になることもあります(笑)。これまでの経験のおかげで、「経営者層とビジネスの話ができるキャバ嬢」という希少なポジションを築けているのかな、と。
私はお酒も強いし好きなので、このはたらき方との相性は良いと感じていますね。
──「この仕事が楽しい」と感じられる瞬間はどこですか?
キャバクラでは、キャストからは購買意欲の高い女性の、お客さまからは富裕層男性のリアルな消費行動が直に学べます。人はどんなものにお金を使い、どんな価値観で動いているのかを、ここまで近い距離で観察できる仕事はなかなかありません。
キャバクラは「お酒を飲んで話すだけ」の仕事に見えるかもしれませんが、実際は真逆。お客さまごとに求めているものが違うので、常に最適解を考え続ける、思考が必要な仕事です。
私はルーティンワークだと熱量が続かないタイプなので、自分の判断や工夫が成果に直結するこの環境がとても性に合っているんです。自分の人生を自分で動かしている実感は会社員時代には得られなかったので、今は本当に「仕事が一番楽しい」と心から言えます。
他人の評価ではなく、自分の基準ではたらくために
──たまごあゆみさんの、将来の理想のはたらき方とはどのようなものですか?

私には結婚願望もあるし、子どももほしいとずっと思っていて。子育て期は仕事と両立を頑張るより、思い切り子どもに集中したいんです。
今の社会は、「子育てしながらバリバリはたらく女性こそ最強」という風潮がまだ強い気がします。もちろん、それができる人は尊敬しています。ただ、誰もが同じようにできるわけではないですし、私自身はその価値観に無理やり合わせる必要はないと感じています。
だから、人生のフェーズに合わせてはたらき方を変える選択肢を持ちたいんですよね。子育て期には10年くらい仕事を休んで、落ち着いたらまたはたらく。そんな柔軟に生きられる社会が理想ですし、自身もそうありたいから、現在は得た収入の約8割を株式やゴールドでの積立投資に回しています。仕事で早期リタイアできるほどの資産を築き、子育てに集中できる期間を自分で確保するための準備を進めている段階です。私はFIREを「はたらきたくないから」目指すものではなく、人生の選択肢を広げ、未来の自分の自由度を高めるための投資だと思っています。
──自分の基準で人生を選ぶ姿勢が素敵です。ただ、自分の秀でたところや魅力が分からないという方も多いと思います。
自己評価が低い人は「自分には何もない」と思いがちですが、実は弱点だと思っている部分が強みに変わることってすごく多いんです。
たとえば私も、大学時代にラウンジではたらいていた経験は、親世代からすると「グレている」と見られるでしょう。でも、それはほかの人がやっていない強みに変わる経験でもあり、結果的に今の仕事への足掛かりになっています。また、長所や短所も自分で気付くのが難しい場合は、周囲に聞いてみるのもおすすめです。
短所だと思っている部分も、「どんな場面なら活かせるか」「どう使えばプラスに転換できるか」を考えると、ちゃんと強みになります。
──最後に、スタジオパーソルの読者である「はたらく」モヤモヤを抱える若者へ、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするために、何かアドバイスをいただけますか?
周りからどう見られるか。親や友達がどう言うか。そうした価値観に引っ張られてはたらき方を決めてしまうことは多いと思います。でも、実際は思っているほど、他人は自分に関心を持っていないんですよね。
だから、自分の基準を大切にしてほしいです。自分が楽しいと思えるか。納得できる収入が得られるか。成長実感を持てるか。自分の人生にとってプラスか。あなたにとって大事にしたいことを基準に道を選んでいったほうが、長い目で見て、ずっと自分らしくはたらけると思います。
やりたいことを選んで、自分なりに結果を出せば、周りは自然に認めてくれます。まずは自分の基準を軸に、はたらき方を選んでいいんだと伝えたいです。
(「スタジオパーソル」編集部/文:石田千尋 編集:いしかわゆき、おのまり 写真:水元琴美)

