焼酎蔵の副産物がもたらす野生の恵みも味の個性だ
つまり、『菱田蒸溜所』ではこの1基でシングルモルトウイスキーも、シングルグレーンウイスキーも、ブレンデッドウイスキーもつくれるということですね。そして、同蒸溜所が焼酎蔵であることの副産物が麹(こうじ)菌や酵母の作用。
並行している焼酎づくりにより、原材料の糖化に使った麹菌や野生の酵母がわずかでも蒸溜所内に棲んでいるため、それが原酒に個性を与えてくれる。そう、『菱田蒸溜所』の髙屋総一郎さんが教えてくれました。
▲営業部長代理の髙屋総一郎さん
焼酎に樽熟成は必須ではありませんが、ウイスキーには絶対欠かせません。ただ、それまでの焼酎蔵では貯蔵するスペースに限界があります。そこで新たに設けた熟成庫が、志布志市の『田之浦(たのうら)エイジングセラー』。
ここは2014年に閉校した田之浦中学校を改修したもので、校舎も体育館もフル活用して熟成などを行っています。ゆくゆくは校舎の一部をビジターセンターにする計画で、セミナールームのような部屋も設けられていました。
熟成の若さを感じさせない『菱田蒸溜所』のリッチな味!
見学のラストでは、ウイスキー(厳密には、熟成年数が定義を満たしていないため『ニューボーン(ニューメイク)』というくくり)のテイスティングもさせてもらえました。
『TWSC』でW受賞の起居を果たした『菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude2』は、同一蒸溜所のモルトとグレーンによるシングルブレンデッド。まず、熟成年数の若さを感じさせませんね。ナッティなまろやかさと、モルティな深いコクがあってバニラ的な甘みもリッチ。余韻にはドライマンゴーのような南国フルーツの果実味があり、確かに素晴らしい完成度です。
▲『菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude2』。販売先は蒸溜所限定で5500円
もうひとつは、初のシングルモルト(同一蒸溜所のモルトのみをヴァッティング)『菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude3』。モルトらしいどっしりした厚みと、ペドロヒメネスのシェリー酒樽で熟成させた、濃厚かつ艶やかなコクが印象的。こちらは南国プラス、干しブドウ的な果実味と、安納芋を香ばしく焼いたようなキャラメルタッチの甘みもイイですね。
▲『菱田蒸溜所 ニューボーン Prelude3』6050円
『菱田蒸溜所』のニューボーンは、大崎町のふるさと納税の返礼品にもなっており、在庫があれば希少な銘柄も入手できます。同町産ウナギとのペアリングもオススメですよ。ぜひお試しを!
(執筆者: 中山秀明)
(執筆者: 中山秀明)
