
【北中米W杯出場国紹介|第17回:ニュージーランド】育成年代から着実な積み上げ。難敵揃うG組で悲願の初勝利を!
北中米W杯で4大会ぶり3度目の出場となる「オールホワイツ(ニュージーランド代表の愛称)。
今大会から出場枠が48に拡大し、これまでは0.5枠だったオセアニアに1枠が与えられた恩恵は大きい。オーストラリアがAFCに移籍して以降、全体的に底上げされてきているとはいえ、まだまだニュージーランドの1強状態に変わりはないからだ。
ただし、だからと言って本大会に参加して終わりではないポテンシャルを秘めることも確かだ。そこには育成年代から着実に国際経験を積み上げてきた裏付けがある。
今回の予選ではグループステージでタヒチ、バヌアツ、サモアと対戦して、3試合で19得点1失点という圧倒的な強さを見せた。そして準決勝ではフィジーに7-0、決勝でニューカレドニアにやや苦しんだが、後半に3つのゴールを重ねて盤石の突破を果たした。
開催3か国を除けば、日本に続く2番目の予選突破であり、昨年秋の代表ウィークをしっかりとチーム強化に使うことができたのは、1つのアドバンテージと言える。
本大会で最低限の目標になるのは1勝だ。初出場だった1982年のスペイン大会ではブラジル、旧ソ連、スコットランドを相手に3戦全敗、得失点差は-10という散々な結果に終わった。
7大会ぶりとなった2010年の南アフリカ大会では、前回王者イタリアをはじめ、パラグアイ、スロベニアと対戦し、いずれもドロー。手応えと悔しさの両方が残った。
以降は、大陸間プレーオフでメキシコ、ペルー、コスタリカに敗れて、本大会を逃してきた。そして、16年ぶりに辿り着いた大舞台。ベルギー、エジプト、イランと難敵が揃うG組で何とか白星を手にし、グループ3位の上位国にも権利がある決勝トーナメント進出を果たしたい。
ダレン・ベイズリー監督は育成年代からの叩き上げで、2023年からA代表の暫定監督として指揮を執り、そこから正式な監督に引き上げられた。現在のメンバーの大半が、U-20代表やU-23代表からの教え子だ。それだけに、選手のマネジメントに関しては出場国の中でもトップレベルだろう。
ベテランから若手まで年齢のバランスも良く、攻撃の主翼を担うベン・オールド(サンテティエンヌ)ら海外組だけでなく、Aリーグに参戦しているオークランドFCやウェリントン・フェニックスに所属する“国内組”もミックスされている。
基本布陣は4-2-3-1。前線からチームを引っ張るクリス・ウッド(ノッティンガム・F)はキャプテンでもあり、南アフリカ大会にも出場している“生ける伝説”だ。ただ、昨年末に膝の怪我で離脱しており、順調なら本大会には間に合うが、不安要素の1つになっている。
コスタ・バルバルセス(ウェスタン・シドニー)も経験豊富で頼りになるが、2025年のU-20W杯にも出場した17歳のルーク・ブルック=スミス(ウェリントン・フェニックス)のような若手の突き上げにも期待したい。
中盤では、セルビアリーグで異彩を放つサープリート・シン(パチュカ・トポラ)が攻撃のタクトを振り、精神的な支柱の一人でもあるマルコ・スタメニッチ(スウォンジー)が力強く支える。
相棒を担うのはライアン・トーマス(ズウォーレ)だが、イングランド3部に相当するリーグワンで成長中の23歳のマシュー・ガーベット(ピーターバラ)が主力のポジションを確立できれば、ミドルシュートによる得点力を含めて、攻撃のダイナミズムが増しそうだ。
センターバックは21歳のタイラー・ビンダン(シェフィールド・U)とMLSでプレーする22歳のフィン・サーマン(ポートランド・ティンバーズ)がファーストセットとしてコンビを組む。ベテランのマイケル・ボクソール(ミネソタ・ユナイテッド)やジョージ・スタンガー、サイドバックとのポリバレントであるビル・トゥイロマ(シャーロットFC)が備え、最も充実したポジションだ。
左サイドバックはフランシス・デ・ブリース(オークランドFC)が第一人者で、攻撃的なジェームズ・マクガリー(ブリスベン・ロアー)が効果的なオプションとなる。
そして評価を高めているのが、GKマックス・クロコム(ミルウォール)だ。チャンピオンシップで上位を争う所属クラブの正守護神を担い、各国代表クラスのアタッカーも多い舞台で味わい深い好守備を継続している。
2017年には試合中にトイレを我慢できなくなって、用を足してレッドカードをもらった特異なエピソードもあるが、30代になって心身ともに大きく成長した姿を見せている。
たとえばベルギー戦など、自陣に押し込まれる時間帯が多くなると想定される本大会においても、クロコムと気鋭の若手センターバック・コンビが立ちはだかれば、悲願の初勝利、さらに世界をあっと言わせるような躍進への道が開かれるかもしれない。
文●河治良幸
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