巨人の田中将大投手が、プロ野球史上4人目となる日米通算200勝を達成した。日本で122勝、米メジャーリーグで78勝を積み重ねた結果の大記録である。田中は試合後、「ここがゴールではない。ひとつでも多く勝ちたい」と語り、現役続行の強い意志を明らかにした。
この節目の勝利を前に、阿部慎之助監督も「もちろん投げてもらう」と語り、3位で出場するクライマックスシリーズ(CS)での登板を明言している。田中が巨人のユニフォームで大舞台に立つ姿に、多くのファンが期待を寄せている。
一方で、田中の現在の投球内容には懸念もある。シーズン中はDeNA戦で2敗、防御率9点台と苦戦が続き、阪神戦では登板すらなかった。担当記者も「9回完投は考えられず、6回まで試合を作れるかどうかがポイント」と指摘する。CSで炎上するような展開になれば、田中の希望する現役続行に暗雲が立ち込めかねない。ただ、
契約面でも注目が集まる。今季は1億6000万円(金額は全て推定)の単年契約だが、楽天が提示したとされる6000万円台を大きく上回る条件を用意したのが巨人だった。
「FAで獲得した選手には引退後のコーチ契約が約束されている“終身雇用”のような仕組みがある。今の一軍コーチ陣も杉内、古城などがその例だ」と巨人OBは語る。実際、田中の獲得に最も熱心だったのは阿部監督自身だったとされる。つまり、今回の巨人移籍は、条件面だけでなく、阿部監督の強い信頼と期待が背景にある。
いずれにせよ、CSでの登板こそ田中の真価を問う試金石となる。ベテラン右腕がチームを勝利に導けるのか、それとも大舞台で苦しい現実を突きつけられるのか。田中将大のキャリアの次章を占う大一番が迫っている。
(小田龍司)

