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サッカー界のパワハラは海外でも存在する? 日本では一発アウトも、イタリアなどでは全く問題視されないのはなぜか。批判を覚悟で言えば…

サッカー界のパワハラは海外でも存在する? 日本では一発アウトも、イタリアなどでは全く問題視されないのはなぜか。批判を覚悟で言えば…


 パワハラ――。言うまでもなく、パワーハラスメントの略語で、職場の優位性を利用し、業務の範囲を超えて精神的、身体的苦痛を与える行為などのことを指す。

 近年、Jリーグでもこのパワハラ問題が表面化している。直近で言えば、2025年シーズンにアビスパ福岡を率いた金明輝氏のケース。サガン鳥栖時代に続き複数のコンプライアンス違反行為があったとされ、百年構想J1リーグのシーズンイン直前に契約を解除されたことは記憶に新しい。

 Jリーグもパワハラを人権侵害と捉え、日本サッカー協会と協力して相談窓口を設置するなど、再発防止と根絶に向けた対策を講じている。

 とはいえ、同じハラスメントでもパワハラは、セクハラなどよりも多義的。受けた側の主観と客観的な認定基準の間にずれが生じることが大半で、デリケートで、判断が難しい問題だ。それは過去の事例を推察しても明らかである。
 
 では、このサッカー界のパワハラは日本以外でも存在するのか。私の得意分野である、イタリアに絞って調べてみた。

 そもそも、ハラスメントという言葉から派生した、パワハラという用語自体が存在しない。イタリアではハラスメントはスペイン語同様、「Molestia(モレスティア)」と言われる。ハラスメントの意味が嫌がらせや悩ます行為を指す一方で、モレスティアは主に不快感など気分的な損害を示すことが大半。あまり勝手なことは言えないが、この辺りのニュアンスの違いも、もしかしたら英語圏とラテン語圏の文化、国民性の違いがあるのかもしれない。

 話をサッカーに戻すと、確かにイタリアスポーツ界でもモレスティアは存在する。ただ、いじめや権力の乱用といった行為がほとんどで、もっと言えば被害者の大半が未成年。イタリア人の知り合いに聞いたり、ネットで調べたりしても、プロ年代ではほとんど事例が出てこない。

 ここからはイタリアで8年ほど住んだ自身の肌感覚の話になるが、日本では主張するのではなく控えめであることが、一種の美徳とされる。ただ、日本文化を理解している相手は例外として、海外でそのような姿勢だと、逆に自己主張のない人間というマイナスのレッテルを貼られかねない。

 もちろん、海外でも育った家庭環境や両親の性格などの影響で、性格は千差万別。イタリア人も全員が全員、自己主張が強い人間だとは言わない。ただ少なくともそういった文化の違いが、パワハラの有無に少なからず影響を与えていることは感じている。

 サッカーでも、海外でプレーしている日本人選手がときに、意を決して監督に直談判したなどといった話が美化されて伝えられることもあるが、海外の選手からすれば、それは珍しいことではない。むしろ日常茶飯事と認識されている。

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 実は、パワハラ被害を受けたJリーグの選手に相談を受けたことがある。打ち明けられた監督からの仕打ちが事実であれば、非情に遺憾であり、決して許される行為ではない。訴えた側にもリスクが生じることも忘れてはならないだろう。

 ただ、そのケースは別にしても、批判を覚悟で言えば、トップレベルを除き、日本にはイタリアなどと比べ、精神的にまだ成熟しきっていない選手が多いのではないか、と感じることもなくはない。

 セリエAにも、ナポリのアントニオ・コンテを筆頭に厳しい指導で知られる監督は多くいる。日本では一発アウトだろうといった暴言を選手に対して浴びせるシーンも、何度も映像で見たことがある。それでも全く問題視されないのは、選手たちに強い精神力やプロ意識、反骨精神があるからだと思う。

 プロはそもそも厳しい世界、生き残って行くには強い精神力が必要。これは監督の選手へのパワハラ問題だけではなく、監督のスタッフなどへ行為にも当てはまるのではないか。
 
 日本で育った場合、なかなか自己主張をするのは難しい風潮にあることは理解しているつもりだ。それでも長く海外生活を送った身からすれば、そういった日本の国民性が場合によってマイナスに働くことがときにあることも、グローバル化が進む昨今、認識しておくことは決して損ではないだろう。

 最近、若い世代で海外に活躍の場を求める日本人選手が激増している。Jリーグのレベル低下といった懸念もある。一方で、個人的には海外挑戦は大賛成の立場。成功できなくても、絶対にプラス要素は得られるからだ。海外で生活すると、日本に住み続ければ分からなかった自身に潜在するキャラクターが、一気に解放される可能性がある。その一つが自己主張であると考えている。

 選手は10人いれば、10通りの好みや個性がある。物事を判断する物差しも、それぞれ違う。そういったなかで、受けた側の主観と客観的な認定基準の間にずれが生じることは、いわば当然のこと。そんななかで、パワハラを完全に根絶させることはほぼ不可能ではないか。大切なのは、こういった議論をどんどん重ね、防止に向けたさらなる体系的な取り組みを整えることだと思う。

文●垣内一之(スポーツニッポン新聞社)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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