AIの発達と普及により、私たちの生活は目まぐるしく変化している。仕事での活用や今日の食卓の提案、はたまた知人とのメッセージのやりとりまでAIがフォローしてくれる時代だ。その分野は多岐に渡り、いまや資産形成や投資までもAIの力を借りることができる。そんなAI時代を生き抜く上で人間が忘れてはいけないこととは――。
日本人経営者で史上最年少のドバイ移住を達成した荻原朝飛氏の書籍『ドバイの大富豪の新しい習慣 世界一やさしいAIでお金を増やす方法』より一部を抜粋・再構成し、AI時代に見極めなくていけないことや活用の仕方を解説する。
AI時代の自分で考える力
わからないことは何でもAIに聞けばいい。この便利さに慣れると、私たちは「調べる苦労」から一気に解放されます。しかし、この便利さが私たちから奪いかねないものが一つあります。
それが「自分の頭で考え続ける力」です。
AIは膨大な情報を整理し、最適解を提案しますが、それはあくまで「過去のデータをもとにした、確率が高い選択肢」にすぎません。本当に自分にとって正しいかどうか、最終的に決めるのは自分です。
AIは「あなたがどんな人生を送りたいか」「どれくらいのリスクを許容できるか」「お金を失ったとき、どんな気持ちになるか」までは理解できません。
AIは感情を持たないからです。だからこそ、AIが示した答えをどう解釈し、どう実行するかを決めるのは、感情を持つ人間にしかできない役割です。
便利さに慣れ切ったときこそ、怖いのは「思考停止」です。
AIがあるから調べなくていい、AIがあるから判断も任せていい……これを繰り返すと、いつの間にか自分で情報を比較し、疑問を持ち、確かめる力が弱っていきます。
私たちがAIを活かす本当の方法は、「AIが集めた情報を材料にして、自分の意思で選び取る」ことです。
AIは大量のデータを瞬時に比較して、答えを提示してくれます。
それに対して、「なぜこの答えなのか?」「ほかの選択肢はないのか?」「自分が納得できるのはどれか?」などと、AIの答えに問い続ける姿勢が、AI時代の思考力の土台です。
特に投資では、その力が如実に問われます。
相場は予測通りに動くこともあれば、突発的な出来事で一瞬にして変わることもあります。AIはその都度、最新のデータで修正してくれるでしょうが、下落相場を前にしたとき、あなた自身の「どうしたいか」がなければ、どの選択肢も決めきれなくなります。
ですので、AIを使うほど、自分の価値観や目標を言葉にできる人が強くなります。
「自分は何のために投資するのか」
「どれくらいなら損してもいいのか」
「どんな未来を描いているのか」
このような問いを立てずにAIに任せきりになると、予想外の損失に心が折れ、AIに対する不信感だけが残ります。
逆に、AIを自分の脳の外部ストレージとして活用し、思考の土台を自分で持ち続ける人は、どんな相場でもブレずに軸を取り戻せるのです。
私たちはAIを道具として持つだけでは足りません。
AIに「何を問うか」「何をさせるか」を決める力こそが、本当の意味での考える力なのです。
次世代の投資術
これまで投資といえば、「プロの勘」と「人間の経験値」が頼りでした。ところが今、テクノロジーの進化によって、投資の現場は静かに、しかし着実に大きく塗り替わりつつあります。
AIを活用した投資術とは、単なる自動売買ツールや分析ソフトにとどまりません。私たち人間の頭脳と、AIの圧倒的な計算力・情報処理能力を掛け合わせることで、これまでにないスピードと精度で資産を「守り育てる」ことが可能になります。
では、今注目すべき次世代のAI投資術にはどんな形があるのでしょうか?
(1)AI×パーソナライズ資産運用
これまでは、多くの人が同じ商品や同じポートフォリオを選びがちでした。
しかし、AIが個々の資産状況・ライフプラン・価値観・目標金額まで分析し、「あなた専属のAIファイナンシャルプランナー」として最適解を提示してくれます。これにより、自分だけの投資戦略を持つことが当たり前になる時代が到来すると考えられます。
(2)AIによるモニタリングと売買シグナル
AIは24時間365日、休むことなく膨大な市場データを監視し続けます。為替の急変動、国際情勢のニュース、企業決算の速報など、人間が見逃してしまうような小さな兆しも、即座に拾い上げ、最適な売買のタイミングを教えてくれます。
情報の速さと正確さで、人間の感覚だけでは到底かなわない一歩先の判断が可能になります。
(3)AIを使った「ナラティブ投資」
近年、注目されているのが数値だけでなく物語(ナラティブ)を読む投資です。OpenAI のChatGPTの株価が押し上げられた背景には、「技術革新で世界を変える」という人々の物語への期待がありました。
AIはSNSやニュース記事、経営者の発言などの言語データを分析し、市場にどんな物語が流れ、人々がどんな夢を見ているのかを解析します。
これにより、「次に注目されるテーマ」や「空気感」を数値化し、先読みできるのです。
(4)AIと直感のハイブリッド運用
「AIにすべて任せる」安易な考えではなく、「AIと人間が役割を分担する」運用スタイルが定着してくると思います。
AIは膨大なデータの計算や確率分析が得意ですが、人間には「ひらめき」や「現場感覚」があります。相場に予想外の出来事が起きたとき、AIのシナリオに対して人間の直感で軌道修正する……この両輪で回すハイブリッド運用が、リスクを抑えつつ機会を最大化する次世代の形になるはずです。
(5)AIによる投資行動最適化
投資で失敗する理由の多くは、知識不足ではなく、感情の暴走です。
AIが投資家の取引履歴や発言をモニターし、「今のあなたは焦りすぎていないか?」「感情的な損切りをしようとしていないか?」を診断してくれます。
必要に応じて冷静になる時間を提案し、アラートを出してくれるのです。人間の弱点をAIがカバーし、最適な投資行動を支えてくれます。

