2年連続ワールドシリーズ制覇のカギを握っているのは、やはり大谷翔平だった。
現地時間9月30日、メジャーリーグのワールドシリーズ・トーナメントの第一関門である、ワイルドカードシリーズ(3回戦制)が開幕した。
ワイルドカードシリーズが第3戦までもつれたら、大谷がDH兼先発投手で出場すると、ロバーツ監督が言及している。
しかし専門家に優勝予想を聞くと、ドジャースの2連覇を予想する声は少ない。地区優勝の目前で足踏み状態となった救援陣の炎上が、その一因である。
「ドジャースはどうにか地区優勝しましたが、ナ・リーグの他地区Vチームと比べると、最も勝率の低いチームなんです」(現地記者)
地区優勝した3チーム中、勝率の高い順に、中地区のブリュワーズが第一シード、東地区のフィリーズが第ニシードへと振り分けられた。最も勝率の低いドジャースは、ワイルドカードで勝ち上がったチームと戦わなければ、次の地区優勝シリーズに進めない振り分けとなった。つまり、ナ・リーグ優勝争いに勝ち上がるまで、ブリュワーズ、フィリーズよりも多く試合をこなさなければならないことになる。
ここで思い出されるのが、ペナントレース終盤に出た米全国紙「USA TODAY」の一報だ。「大谷の二刀流での出場はズルイとし、その不満が他のチームから挙がっている」という内容だった。これには日米双方のメディアが「事前に分かっていたこと。今さら?」と反論していたが、ドジャースがワイルドカードシリーズに回ることを想定しての報道だったのだ。
「USATODAY紙の記事が出たのは、ペナントレース終盤の9月半ばでした。この時点で、ドジャースがナ・リーグ3地区の優勝チームの中で最低勝率になることも、予想されていました。他チームが大谷の二刀流にケチをつけ、陽動作戦でドジャースを揺さぶろうとしたようです」(前出・現地記者)
そういえば、DHの大谷がリリーフで登板する可能性が伝えられたのも、この頃だった。大谷がリリーフ登板する場合、DH制は解除されるので、降板後も打席に立ち続けるには外野守備に就かなければならない。DH解除のめまぐるしい選手交代に批判的な報道は多かったが、これもドジャースがワイルドカードシリーズに回るリスクが背景にあったからで、大谷の「外野守備もやる」発言は、その決意表明だったわけだ。
「佐々木朗希もリリーフで登板する可能性がある。でも、リリーフではまだ2試合しか投げておらず、どうなるか分かりません」(アメリカ人記者)
ポストシーズンマッチで劣勢が囁かれる状況を打破するには、やはり大谷が2人分の活躍をするしかないようだ。
(飯山満/スポーツライター)

