LCRホンダのヨハン・ザルコは、2025年中盤以降に苦戦。2026年シーズンは復調を目指している途上にあるが、今のところはポジティブな点もネガティブな点もあるようだ。
ザルコは2024から2025年の序盤にかけて、苦しむホンダ陣営の中でチームを支えてきた存在だった。特に、2025年のフランスGPでは雨のレースを制し、記憶に残る母国勝利を果たしてみせた。
しかし、2025年中盤にホンダがマシンをアップデートするとザルコは適応に苦しみ、ファクトリーチームのジョアン・ミルやルカ・マリーニの後塵を拝するようになった。状況は深刻で、一時は失われた自信を取り戻すため、以前の仕様のマシンに戻さざるを得なかったほどだった。
ザルコにとって2026年シーズンは苦戦からの復調・リセットを期すシーズンとなる。ホンダとしてもファクトリーチームが順調に結果を出しつつある今、2026年にはLCRに新人のディオゴ・モレイラが加わるということもあり、ザルコにはなおさら安定した結果を出してもらいたい情勢となっている。
ザルコにとって追い風となり得る要素のひとつが、今年のRC213Vの安定性だろう。MotoGPは2027年にエンジンの850cc化を含む大きなレギュレーション変更が控えているため、現行マシンに割けるリソースは多くない。そのためマシンに大きな変更が加わる可能性は低いと見られている。
「シーズンに向けて技術者と準備を進めている。問題が起きた場合でも素早く対応できるようにするためだ。バイクのフィーリングは良いし、理解もしている。コメントを共有すれば、彼らは何かを変えてくれるだろうし、上手くいくはずだ」
ザルコはそう語る。
「昨年はかなりうまくコントロールできていた。だけど、シーズン中にバイクが変わり始めた時に、その流れを失ってしまった。今年は2027年に向けた別プロジェクトもあるため、バイクはそれほど変わらないと分かっている。だからこそ、ライダーにとって大きな違いを生む細かな部分に取り組むことを楽しみにしているんだ」
ザルコはセパンテスト初日には、LCRとホンダのための開発作業に専念し、ライダー自身が求める「フィーリング」を探る時間はほとんど取れなかった。
テスト2日目にはRC213Vからより速さを引き出すことに成功し、一定の進歩が見られた。ただ、ミルとマリーニほどの快適さは感じられず、午後に降った激しい雨も影響し、多くのライダー同様にガレージでの待機時間が発生してしまった。
3日目になってようやくマシンとのかみ合わせがよくなったか、ザルコはさらに走りを改善。陣営最速だったミルに0.3秒差の位置につけた。
ザルコはテストを振り返ると、「ポジティブな形で終えることができた」と語る。
「初日と2日目の序盤は、自分のやっていることがうまく機能せず、少し苦しんでいたが、フィーリングは徐々に良くなっていった」
「(テスト序盤に)ポテンシャルは感じられていた。ただ前向きなコメントをしていたミルやマリーニと同じくらいに前向きにはなれていなかった。でも2日目終盤から3日目にかけて、より安定し、ポジティブになれた。これは本当に良かった。バイクはかなり改善されたと思う」
とはいえ、2月21〜22日に行われるブリーラムテスト、そして3月1日のシーズン開幕戦タイGPに向けて、まだ多くの課題が残っている。特にユーズドタイヤでのパフォーマンスは懸念材料だとザルコは考えている。
「まだ良いバランスを見つける必要がある。レースマシンはとても繊細で、正しいバランスを得るのは簡単じゃないんだ。でも一度それを見つけられれば、とても楽しくなる。それがブリーラムでの目標だ」
ザルコはそう語る。
「タイヤの性能劣化はまだ苦戦している点だろう。マレーシアだと全員がそうだけど、僕の場合はタイヤが消耗し始めると、バイクのコントロールもどんどん難しくなってしまうんだ。ラップを重ねるごとに悪くなってしまう」
「そこは昨年も弱点になっていた。十分に改善できたとは感じていないし、ブリーラムではまた別のタイヤで同じような挙動が出て来る可能性もある。だからシーズンを通じて解決策を見つけていかないといけないだろう」
なおザルコは昨年同様に、ミルやマリーニと同じセットアップを採ることはできないと自覚している。自分の要望やライディングスタイルと合致した解決策が必要だと考えているためだ。
セパンテストで最も改善した点について尋ねられた際、ザルコは次のように語った。
「バイクのコントロールだ。これはセットアップによるものだ。僕は彼ら(ファクトリーチームのふたり)がとてもポジティブなセットアップを見つけていたとしても、それをコピーすることはできない。体格がまったく違うからだ」
「バイクに乗ってどこに体重をかけるかで、大きな違いが生まれる。だからこそ、自分に合わせた形でバイクを仕立てる方法を理解する必要があるんだ」

