
なぜフリック・バルサは失速したのか――番記者が指摘する“山積みの問題点”「これまでは個人の閃きが構造的な欠陥を覆い隠してきたが…」【現地発】
ハンジ・フリック率いるバルセロナは、そのゲーム内容以上に「ゴール」という事実によって説明されるチームだ。コパ・デル・レイのアトレティコ戦での完敗(0-4)やラ・リーガの不運も重なったジローナ戦での敗戦(1-2)が示す通り、その最大の生命線を絶たれると、チームはその脆さを露呈する。
昨シーズンの躍進から一転した現在の苦境は、個人的、および集団的な要因に起因している。チームは国内3冠王者としての過剰な期待の奴隷となっており、同時にライバルたちがフリックの戦術を研究し、その弱点を突く術を心得たことも大きい。
指揮官の哲学は「ゴールの打ち合い」を是認するものであり、選手には両ゴール前、とりわけ敵陣での圧倒的な決定力が求められる。しかし、ジローナ戦やレアル・ソシエダ戦(1-2)ではその牙が沈黙した。何より痛手となったのは負傷者の続出だ。ラミネ・ヤマル、レバンドフスキ、そしてフリックの申し子ともいえるラフィーニャ。この強力3トップが継続してプレーできなかったことが、チームの勢いを決定的に削いでしまった。
これまでは個人の閃きが構造的な欠陥を覆い隠してきたが、チームの大半が、フリック就任直後に見せた驚異的なベストバージョンからは程遠いのが現状だ。最近のバルサは「フットボールをプレーしている」というより、単に「局面のプレーで凌いでいる」に過ぎない。
主体性や反骨心、規律や一貫性が欠如しており、新戦力のジョアン・ガルシアが好守を披露しているにもかかわらず、守備の脆弱さはかつてないほど表面化している。かつての強気の戦い方は、高い位置からのプレスと即時奪回によって敵陣で試合を進める能力に基づいていた。その高いライン設定を支えていたのは、イニゴ・マルティネスによる精密なラインコントロールだった。
しかし、そのイニゴが退団したことで左利きのセンターバックという「出口」を失い、ビルドアップは困難を極めている。中盤の構成力も低下し、特にペドリ不在時の停滞は顕著だ。フリックもカサドやベルナルを十分に活用できているとは言い難い。
チームはコンパクトさを失って中盤で分断され、制御不能な状態に陥っている。その煽りを受け、アトレティコ戦ではバルデ、ジローナ戦ではクンデの側から、文字通り両翼を切り裂かれた。中盤のフィルターが機能せず、前線の守備貢献も足りない。
追い打ちをかけるように最前線では、フェラン・トーレスとレバンドフスキを使い分ける中で「9番」の役割に迷いが生じており、その最適解を見出せない現状が、チームの脆弱性をさらに広げている。
かつて相手を押し込んでいたインテンシティと連動性は影を潜めている。ユニットとしてのプレスが機能不全に陥り、その代償として露呈しているのがポジショナルプレーの質の低さだ。中盤に純粋なMFがデ・ヨング一人しかいない状況になれば、その欠陥はより鮮明になる。攻撃面でタメを作ることができず、ただ混乱が拡散していくばかりだ。
こうした困難に直面した際のリーダーシップの欠如も深刻である。フリックが掲げる「相手より1点多く取る」というスローガンに固執するあまり、ゴールが奪えないと焦燥感に駆られ、代替案を見いだせない一本調子なチームに成り下がっている。
さらに顕著なのが、蓄積した疲労だ。それが攻守におけるアグレッシブさを奪うだけでなく、フリック・バルサの代名詞である若々しく、快活なキャラクターまでも損なわせている。リスクを恐れぬ冒険心でファンを熱狂させたチームは情熱を失い、貪欲さも消え、今や「逆転される側」へと回ってしまった。
冬の移籍市場での補強が、実効性を欠くジョアン・カンセロのみであったことを考えれば、現時点での修正の余地は限られている。唯一の希望は、ペドリ、ラフィーニャ、そしてヤマルの3人が万全の状態で揃うことだ。彼らが共鳴した時だけ、バルサはその真骨頂を発揮できる。
バルサはペドリの復帰によって、チームに再び「光」が灯ることを期待している。彼を中心に組織が再連動し、得点力と勝利への飢え、あるいは不可解な判定に対する怒りをエネルギーに変えて、再点火することを願っているのだ。宿敵レアル・マドリーとの勝ち点差は激しく変動しており、昨シーズンの急上昇が驚きであったのと同様に、現在の急転落もまた衝撃的である。だが、この不安定さこそが、バルサがまだ絶望するには早いという希望の裏返しでもある。
文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸
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