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「冷たい視線と形式的な握手」が当たり前だった世界が変貌… 冬季五輪フィギュアのライバルたちの新たな関係性に米メディアが注目

「冷たい視線と形式的な握手」が当たり前だった世界が変貌… 冬季五輪フィギュアのライバルたちの新たな関係性に米メディアが注目

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックは、記録やメダル争いだけでなく、選手同士が見せた心温まる交流によっても、多くの人々に強い印象を残した大会となった。とりわけフィギュアスケートでは、勝敗を超えたリスペクトと友情が随所に見られ、長年「個人競技の極限の戦い」と捉えられてきたこの競技に、新たな価値観が芽生えていることを印象づけた。

 こうした変化に、アメリカ大手放送局のスポーツ専門メディア『NBC Sports』も注目している。同メディアは「氷上に置き去りにされたライバル意識」と題した記事内で、今大会のフィギュアスケート会場について「練習中に交わされるハグ、好演後のハイタッチ、ライバルが自己ベストを出した際に送られる声援が目立つ」と紹介。選手たちはもはや単なるライバルではなく、「友人のように見える存在だった」と伝えている。
 
 その象徴的な存在として挙げられたのが、米国女子のトリオ「ブレード・エンジェルズ」。記事では、全米女王のアンバー・グレンが、最も身近な競争相手であるアリサ・リウ、イザボー・レヴィトについて、「子どもの頃から、成長していく姿を見てきた。ここで素晴らしい女性として氷上に立っているのを見るのは、スケート人生で最も幸せな経験のひとつ」と語ったこと、これに対してリウも、「イザボーは今まで会った中で一番面白い人」「アンバーは愛情に溢れている」と惜しみない賛辞を送ったことが紹介された。

 同メディアは、この空気が米国勢に限られたものではない点も強調する。韓国のチャ・ジュンファンが、初の五輪メダルを手にして感極まったミハイル・シャイドロフを称える姿や、自身が致命的なミスで金メダルを逃した直後にもかかわらず、イリア・マリニンがシャイドロフを祝福した場面は、その象徴だ。さらにマリニンは、他国の選手と並んで観戦し、SNS用の動画を撮るなど、「普通の21歳が友人と過ごしているかのようだった」と描写されている。

 かつては「冷たい視線と形式的な握手」が当たり前だったフィギュア界について、同メディアは「金メダルか失敗か、というゼロサムの世界から、文化的転換が起きているように見える」と指摘。その背景として、2014年ソチ五輪団体・銅メダリストのグレイシー・ゴールドの証言も紹介された。彼女は2024年のインタビューで、「競技生活で孤立感を覚えた」「文化の一部は、もっと進歩的に変わる必要がある」と振り返っている。

 こうした変化を後押ししている存在として、ベテラン勢の影響力も言及された。グレンや、日本のエースである坂本花織は、ともに前向きな姿勢で若手の手本となってきた。2025年、坂本が予想外の敗戦を喫した際も、勝者であるリウを抱きしめ、共に跳ねて喜ぶ姿が象徴的だったと綴られている。

 さらに、チームイベントの定着も連帯感を強めた要因とされる。2009年に始まり、2014年に五輪種目として導入された団体戦は、「成功を個人ではなく集団として捉える視点」を選手にもたらした。実際、選手たちは「チームとして戦える特別さ」を口にしている。

 同メディアは最後に、「この協調的な姿勢が競技の未来像にも繋がる」とまとめる。4回転ジャンプ偏重から、より創造的で複雑な表現へと進むフィギュアスケート。その魅力を広げたいという思いは、選手たちに共通している。マリニンが語った「90年代のような人気を取り戻したい」という言葉は、その象徴だろう。勝つために氷上では全力で競い合い、リンクを降りれば互いを高め合う――。ミラノ・コルティナ五輪で示されたこの姿勢こそが、フィギュアスケートの新しい未来を形作ろうとしている。

構成●THE DIGEST編集部
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配信元: THE DIGEST

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