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前例のない「トゲの皮膚」をもつ新種恐竜の化石を発見

前例のない「トゲの皮膚」をもつ新種恐竜の化石を発見

※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

恐竜の皮膚と聞いて、どんな姿を思い浮かべますか。

ザラザラしたウロコ、鎧のような骨板、あるいはふわりとした羽毛かもしれません。

しかし今回、ベルギー王立自然史博物館らの最新研究で、それらのどれにも当てはまらない「中空のトゲ」に覆われた恐竜が発見されました。

中国北東部の下部白亜紀の地層から見つかった新種は、これまでの常識を揺さぶる存在です。

新たに付けられた学名は「ハオロン・ドンギ(Haolong dongi)」。その意味は「トゲのドラゴン」です。

研究の詳細は2026年2月6日付で学術誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載されました。

目次

  • ヤマアラシのような皮膚をもつ恐竜
  • トゲは何のためにあったのか?

ヤマアラシのような皮膚をもつ恐竜

発見されたハオロン・ドンギは、イグアノドン類に属する植物食恐竜です。

全長は約2.45メートル。

ほぼ完全な骨格が見つかり、さらに驚くべきことに皮膚まで極めて良好な状態で保存されていました。

問題はその皮膚構造です。

首、背中、体の側面にかけて、無数のトゲが平行に並び、すべて後方へ向かって伸びていました。

多くは長さ2〜3ミリメートルほどですが、5〜7ミリメートルのものも混ざり、最大で44ミリメートルを超える大型のトゲも存在します。

【復元された新種のイメージ画像がこちら】

しかもこのトゲは単なる突起ではありません。

顕微鏡レベルの解析により、中空の円筒状構造であることが分かりました。

外側は角質層に覆われ、内部には表皮組織が保存され、中心には空洞状の構造が確認されています。

研究チームは、これが原始的な羽毛(プロトフェザー)とは異なる構造であると結論づけました。

現生のトカゲやヘビが持つ棘状構造とも一致しません。

つまり、このトゲは既知の皮膚付属器とは異なる、独自の進化を遂げた可能性が高いのです。

なお、この標本は骨の発達状況から幼体と判断されています。

成体にも同様のトゲがあったのか、それとも成長過程で変化したのかはまだ分かっていません。

トゲは何のためにあったのか?

最大の謎は「このトゲは何のためにあったのか」という点です。

まず考えられたのは体温調節です。

ハオロンが生きていた時代、この地域は比較的冷涼だったと考えられています。

同じ環境には羽毛に覆われた大型肉食恐竜ユウティラヌスも生息していました。

しかしハオロンのトゲは密集度が低く、保温効果は限定的だった可能性があります。

次に、視覚的ディスプレイやカモフラージュの可能性も検討されました。

ですが、色素細胞の痕跡は確認されていません。

これと別に、感覚器官だった可能性も議論されました。

現生爬虫類には振動や接触を感知する微細な棘構造があります。

しかしハオロンのトゲはそれより大きく、構造的にも一致しません。

【復元された新種のイメージ画像がこちら】

そこでチームが最も有力視しているのが「防御機能」です。

ハオロンの生息域には比較的小型の肉食恐竜が多く存在していました。

このトゲは捕食者を致命的に傷つけるほど強力ではなかったでしょう。

しかし、噛みつきにくく、飲み込みにくい獲物にするには十分だった可能性があります。

論文では、これらの防御は完全な防壁ではないが、捕食に時間と労力をかけさせることで、捕食成功率を下げる効果があったと述べられています。

つまりハオロンは、食べづらい「面倒な獲物」になることで生き延びようとしたのかもしれません。

恐竜の世界はまだ未知に満ちている

恐竜研究は、羽毛の発見以降、私たちのイメージを何度も塗り替えてきました。

そして今回、「トゲの皮膚」というまったく新しいタイプの構造が加わりました。

恐竜の体表は、単なるウロコや羽毛だけではなかったのです。

ハオロン・ドンギの発見は、非鳥類恐竜の皮膚進化が想像以上に多様で複雑だったことを示しています。

恐竜の世界は、まだ私たちが知らない驚きを秘めています。

化石の中には、次の常識を覆すヒントが、静かに眠っているのかもしれません。

参考文献

This Strange Spiky Dinosaur Had Skin Unlike Anything We’ve Ever Seen
https://www.sciencealert.com/this-strange-spiky-dinosaur-had-skin-unlike-anything-weve-ever-seen

元論文

Cellular-level preservation of cutaneous spikes in an Early Cretaceous iguanodontian dinosaur
https://doi.org/10.1038/s41559-025-02960-9

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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