
看過できない失点の形。松本に1-2敗戦の磐田。翌日の“ダービー”で見えた苦しい台所事情と浮上のキーマン
ジュビロ磐田はJ2・J3百年構想リーグの第3節で、松本山雅FCに1-2で敗れた。
ここまで3試合の勝点は、開幕戦のPK戦勝ちによる「2」のみで、現在EAST-Bの8位に沈んでいる。
志垣良監督が就任して1年目の磐田にとって、本当の勝負は昇格を目ざす2026-27シーズンということになるが、ハーフシーズンの大会で優勝を狙う意味では、非常に厳しいスタートと言わざるを得ない。
「結果と成長」を百年構想リーグのテーマに掲げる志垣監督。「開幕からの2試合に比べると、前へ入っていくパワーだったり、球際やプレス、前でボールを奪うというプレー強度の部分は出せた部分はあったのではないか」と指揮官も語るように、着実に改善している要素は松本戦でも見られた。
ただ、勝負という視点に立てば、開始早々にFKのセカンドボールから失点し、さらに後半の早い時間帯にスローインを奪われた流れで、戻りながらの守備のズレを突かれて2失点目というやられ方は看過できない。
守備面に関しては志垣監督も、キャンプから積み上げてきた4-4-2の統率に手応えを感じているようだが、そこから生じる個としての寄せの甘さ、また松本戦のようにイレギュラーな状況が起きた時の対応にズレがあれば複数失点してしまうのが、公式戦の勝負の世界だ。
そうした部分を良化していかないと、90分を通して安定した守備は成り立たない。副キャプテンで、ディフェンスリーダーの山﨑浩介は「上に行くチーム、勝つチームというのはそういった綻びをなくして、やっぱり上に行くと思うので。自分たちにそれが足りていない」と指摘した。
攻撃面は、松本戦では相手のマンツーマン気味のプレスを剥がしながら、ボールを前に運ぶプレーは目に見えて良くなっていた。志垣監督も「過去の2試合に比べると、しっかりと推進力を持って、ゴール前に迫ることができていたのではないかと思います」と前向きに評価する。
しかし、そこから生まれたゴールは67分の佐藤凌我からのクロスに渡邉りょうが合わせた1点のみ。松本のプレスが弱まった終盤は長身のマテウス・ペイショットをターゲットに攻め込んだが、結局ゴールを奪えなかった。
中盤から攻撃を組み立てた井上潮音は「攻撃のパターンが、やっぱりクロスがほとんどになってしまっているなというのは感じるので。そこから、後半だったらフォワードのペイ(ペイショット)に当てて、誰かがペイのところに潜って、2人の関係だけじゃなくて、3人、4人が関わる攻撃ができてくるといいのかな」と語る。
その布石として、ペイショットの高さだけでなく、足もとのポストプレーも活用したかったが、相手の中盤にスペースを消されたまま、うまく縦のボールを入れていけなかった。
後ろからビルドアップに関わったセンターバックの山﨑も、そこの有効性は認めつつも「その足もとに入れるためにも、相手のボランチをもう少し引き出したかったです。相手はセットしてるなかで、そこを引き出せなかった。だから足もとに入れられなかったところがあると思う。
そこの作業をもう少ししていけば、ペイの足もとの良さも出てくると思います。そこが後半、空中の勝負になっちゃったのは、そこを引き出せなかったのが要因だと思います」と冷静に分析した。
チームのベースを上げていきながら、ディテールの部分で、それぞれが感じている問題点をいかにすり合わせていくかは、浮上のためのテーマになっていきそうだ。
もちろん攻撃で言えば、昨年はジョルディ・クルークス(現・横浜F・マリノス)、倍井謙(現・ベールスホット)が両翼から個の力で違いを生み出していたが、そうした役割を目に見える形で果たせる選手が、現在の磐田にはいない。
GK川島永嗣とともに、キャプテンを任された大卒2年目の角昂志郎や、U-23日本代表の川合徳孟、ユースから昇格した石塚蓮歩のような楽しみなタレントはいるが、まだまだ殻を破れているとは言い難い。
そうしたタレントが良い意味で個を発揮するためにも、志垣監督のスタイルで共通理解を高めていく必要があると同時に、「俺がやってやる」という気概も求められる。
松本戦の翌日には、清水エスパルスとの「静岡県Jリーグ加盟3クラブ強化トレーニングマッチ」がIAIスタジアム日本平で行なわれた。
結果は3-1で清水の勝利。無料ながら観客も入れて、公式戦と似た雰囲気の中で、前日の試合でサブやメンバー外だった選手たちの奮起が期待された。
磐田は3人の練習生をスタメンで送り出し、最後はトップチームのメンバーがキャプテンの藤原健介、川﨑一輝など5人だった。一方の清水は松崎快やU-23代表の嶋本悠大、さらには昇格1年目の土居佑至と針生涼太と、トップチームの選手たちを揃えて90分を戦った。
為田大貴や川口尚紀など本来、主力を争うことが期待されるメンバーが復帰できていないことに加えて、松本戦の試合前に左センターバックのヤン・ファンデンベルフがアクシデントで急きょ、森岡陸に代わったこと。試合の前半に相田勇樹が負傷し、前半から川合が出場を強いられるなど、公式戦のベンチメンバーを揃えるのも難しい状況になってしまっている。2失点目の直後、51分に交代した上原力也の状態も気になるところだ。
全体の強度を上げるためにトレーニング負荷を高めていることが、それぞれの怪我に影響しているかどうかは分からないが、志垣監督は「本当にトレーニングの中から強度の部分をもう一度積み上げていかなければいけないなかで、トレーニングをハードに積んでいる状況で、少し怪我人が出てしまいました。ただ、そこに耐え得る強度をつけていかなければいけないと」と語る。
そうしたなかでも、清水戦でキャプテンマークを巻いた藤原は運動量や守備強度を出しながら、攻撃でも存在感を発揮し、次節の福島ユナイテッドFC戦に向けてアピールしていた。
志垣監督も藤原のプレーや振る舞いに関して「常々言っているんですけど、悔しさというのはピッチで表現するもの。それがどれだけ表現できたかが本当に大事だと思うんですよね。立ち上がりは少しゆるく入ってしまった部分が正直あると思います。ただ、練習生が増えるなかで、自分が引っ張っていかなきゃいけないという思いは、後半は見えたんじゃないか」と評価する。
藤原も「今日はチームの状況も含めてチャンスだと思っていたので、だいぶ気合が入っていました」と振り返る。ボランチとしてチームの戦術的なタスクをこなしながら、救世主になっていくぐらいのものを出していけるか。ここからキーマンの一人になっていく期待はある。
取材・文●河治良幸
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