
俳優の山時聡真と菅野美穂が、2月23日に都内で開催されたW主演映画「90メートル」の舞台あいさつ付き完成披露上映会に、西野七瀬、南琴奈、田中偉登、中川駿監督と共に登場。山時が主役を勝ち取った意外なオーディション秘話を明かした。
■複雑な思いを抱える親子の感涙物語
本作は、人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を患いながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザーの揺るぎない愛をつづった物語。母親を看病した経験がある中川監督のオリジナル企画で、自身と母を重ね合わせてキャラクターを作り上げた半自伝的映画となっている。山時は高校3年生の藤村佑を、菅野がその母・美咲を演じる。
主演作の完成を迎え、「本来ならもうちょっと緊張するはずなんですけど、もうこの作品を皆さんに届けることができるんだというワクワクのほうが勝っていて、あまり緊張していません」と、力強くあいさつした山時。
藤村佑役はオーディションで決まったが、その方法が意外なものだったという。山時は「母に電話をするオーディションだったんです。『一つ質問を考えて、お母さんと電話してください』って言われて、10分間くらい電話しているのをスピーカーで聞かれるという異様なオーディションで(笑)。ただ話すだけなので全然緊張はしませんでした。恥ずかしさはありましたけど」と打ち明け、「母と一緒に勝ち取るオーディションなんだなという実感もあって、受かったときに母に『私のおかげだから』って言われました」と、うれしそうに振り返った。
スタジオジブリの大作「君たちはどう生きるか」(2023年)で主演声優に抜てきされ、近年は「ちはやふる―めぐり―」(2025年、日本テレビ系)など、話題の連続ドラマにも出演。繊細な演技で存在感を発揮する山時ということで、オーディションの狙いについて中川監督は「山時くんの芝居が達者なことは過去作で十分知っていたので、そこを見るオーディションではなくて、お母さんとの関係性、山時くんにとってお母さんがどんな人なのか、とか。そこが佑とマッチしているかを見るための審査でした。とっても楽しかったです」と語った。
■菅野、中川監督の印象は「本当に小さく見えて…(笑)」
一方、菅野は出演の決め手について「準備稿から素晴らしい本で感動したのとともに、打ち合わせで中川監督と何人かの方にお目にかかったんです。そのときの中川監督のお人柄に引かれて、これはいい機会を頂いた、ぜひご一緒したいとお引き受けしました」と説明。
それを受け、中川監督は「そうなんですか?僕『初めまして』のときめちゃくちゃ緊張してて…」と回想すると、菅野は「身長も結構大柄な方なんですけど、そうなんです。本当に小さく見えて…だからいい方なんだなってそこで感じていました(笑)。一生懸命真摯(しんし)に答えてくださって」と、一緒に仕事をしてみたい相手だとすぐに思ったことを伝えていた。
ちなみに中川監督にとって菅野の起用には特別な思いもあったそうで、「運命的なものを感じたのは、『90メートル』の佑と美咲役は、10代の頃の僕自身と僕のお母さんのキャラクターを反映しているお話でして」とした上で、「思春期の頃は母と一緒に過ごすこともあまりなかったんですけど、唯一母と一緒に見ていたドラマが『イグアナの娘』(1996年、テレビ朝日系)で。運命的なものを感じちゃって、きっと母も喜ぶだろうなって。ご一緒させていただきました」と、今からちょうど30年前に放送された菅野の主演作を挙げ、今回タッグを組む喜びを話した。
映画「90メートル」は、3月27日(金)に全国公開。
◆取材・文=森井夏月(STABLENT)

