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ユーティリティ男のファインプレーに、どんな場面でも準備ができる投手。対外試合2試合目の完敗の中に見えた希望【侍ジャパン合宿レポート:7日目】

「そこにはスーパーマンがいた」

 侍ジャパンの直前合宿は2試合目の強化試合を行い、0対4でソフトバンクに敗れた。2安打完封負けという寂しい結果にだったが、WBC本大会を戦う上で必要なピースを見つけた試合でもあった。

 冒頭の言葉は、試合後の高橋宏斗(中日)のものだ。5回裏、2イニング目の登板となった高橋はソフトバンクの井上朋也に左中間に痛打を浴びた。「二塁打になるな」と高橋が諦めたその打球を、この日、中堅手で先発起用の牧原大成(ソフトバンク)がダイビングキャッチのスーパープレーを見せたのだ。センターの重要性を感じさせるプレーだった。

「牧原さんの守備に助けられました。あの守備がなかったらどうなっていたか分からないという印象です。投げた瞬間は失投気味だったので、左中間に運ばれた時には二塁打を覚悟したんですけど、スーパーマンが来たような感じでした」

 高橋はそう言って牧原の好プレーにただただ舌を巻いた。

 2大会連続の出場となる牧原だが、前回は鈴木誠也(カブス)の怪我により急遽、代表に呼ばれた。実は前回大会は全7試合中6試合に出場し、アメリカとの決勝でも9回にセンターの守備に就いていた。今大会は最初から代表メンバーに名をつらね、井端監督から「優勝へのキーマン」に指名される選手の1人である。

 牧原の凄さはプロのキャリアを遊撃手で始めながら、二塁手、一塁手、中堅手、左翼手とさまざまなポジションを守れるところだ。いわゆるユーティリティプレーヤーを極めた選手とも言える。所属するソフトバンクの選手層が厚い中で、あらゆるポジションで居場所をつかんできた選手だった。その能力を最大限、代表チームでも生かしている。
  それにしてもだ。今回の代表合宿のシートノックでは一度も外野に入ったことはなく、二塁手の控えという印象が強かった。そんな中でこの日はセンターとして出場し、好プレーを見せるのだから驚きである。

 どんな心構えなのだろうか。

「結果は自分じゃどうしようもできないので、そこを考えても仕方ないので、一瞬一瞬のプレーを一生懸命やることだけに集中して頑張っています。試合前から今日の結果を気にすることによって、ソワソワして緊張につながってくるので、自分でどうしようもコントロールできないことは思い切ってプレイした後に生まれてくるものなので、全力プレーでやってたら、あとは後で結果はついてくるっていう風に思っています。まあ思い切ってやろうっていうことです。今日の試合はいきなりセンターでしたけど、そこが多分一番求められるところだと思うので、今日はそういったところを出せてよかったかなと思います」

 確かに、前回大会はヌートバーが要所で好プレーを見せていた。中堅守備というのは意外と侮れない。二塁手の控えからセンターの控え、牧原は何でもできることを見せたと言っていい。

 井端弘和監督はいう。

「牧原選手はキーを握る選手かなと思います。足もありますし、両方で使えるっていうところも踏まえたら、毎試合出る確率は非常に多いのかなと思ってます。スタメンも含めてですし、遜色なくできるんじゃないかなとは思ってます。いろんなバリエーションを探りながらと思って。今日のファインプレーもちょっとなかなか見られないぐらいのものでしたしね」
  そして、投手陣にももう1人、欠くことができないピッチャーがいる。この日の4番手で登板した北山亘基(日本ハム)だ。

 北山の本職は先発投手だが、ルーキーイヤーにリリーフを務めた経験から第2先発からリリーバーの役回りを任されそうだ。

 井端監督は話す。

「今回のメンバーには後ろの経験あるピッチャーは何人かいるんですけど、北山選手は(リリーフを任せる)候補の一人かなと思っています。今はイニングをこなしといた方がいいと思います。また、登板があるので、その中で判断していきたいですけど、リリーフ経験があるというのは判断材料になるかなと思います」

 北山の持ち味はストレートの球威と威力、同じ球速帯の変化球で相手打者を牛耳れるところだ。投球間隔も狭く、相手打線の勢いを喰い止めることができるのも持ち味だ。先発でのゲームメイク、第2先発での立て直し、1イニング限定の締める役割。どんな場面にも起用できそうな想像がつく。

 この日は少し反省もあったようだ。北山はいう。

「今日はイニングをまたぐ想定で行ったので、試合前の作り方も単発でイニング想定で行くよりかは、いつもの先発に近いような感覚で作りました。ただちょっと入りがぬるいというか、自分の中でぬるい入り方してしまったんで、そこはもうちょっと緊張感を持って1球目から全開できるような入り方も意識して、今後はやっていきたいなと思います」
  起用される場面によって、自身の中で使い分けができているところは期待感を抱かせる言葉だ。自身の体をより理解しているからこそ、シチュエーションによっての調整ができる。心強い限りだ。

 北山はリリーフ想定についてこう意気込んだ。

「リリーフの準備の仕方というのは1球目にどれだけ出力を出してバッターに向かっていくかってところも大事だと思うので、イニングを跨ぐことを最初から優先するよりかは、イニングの1人目のバッターの1球目から全開でいけるっていう準備もかなり大事だと思う。今日はそこがちょっと自分の中で物足りなかったので、そこの意識は次以降しっかりやっていきたいなと思います」

 チームには理想とする戦いがあるのは至極当然のことだ。しかし、短いようで長いWBCを戦っていく中では理想通りに進まない時がある。そんな時に、重要になってくるのはゲームチェンジャーのような役割を担える選手たちである。

 完敗の中に見えた希望。それが牧原と北山の存在だった。

 侍ジャパンにはさまざまなピースがある。苦しい時に彼らがチームを救ってくれるに違いない。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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配信元: THE DIGEST

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