2月22日、春のダート王者決定戦となるフェブラリーステークス(GⅠ、東京・ダート1600m)が行なわれ、単勝2番人気に推されたコスタノヴァ(牡6歳/美浦・木村哲也厩舎)が、3番人気のウィルソンテソーロ(牡7歳/美浦・高木登厩舎)、1番人気のダブルハートボンド(牝5歳/栗東・大久保龍志厩舎)を差し切って優勝。本レース史上3頭目となる連覇を達成した。走破タイムは1分35秒4(良馬場)。
レース直前まではさまざまな不安が囁かれたものの、いざゲートが開き、直線での追い比べに入ると、そこにはライバルたちをあっさりと蹴散らす強いディフェンディングチャンピオンの姿があった。
ポイントは近走深刻になっていたコスタノヴァの出遅れ癖にあった。かしわ記念(JpnⅠ)は勝ち馬から半馬身差の2着に踏ん張ったが、さきたま杯(JpnⅠ)は枠内膠着のような状態で大出遅れを喫して11着に大敗。前走の武蔵野ステークス(GⅢ)でもスタートで大きく立ち遅れて14番手からの追走となり、よく2着まで追い込んだものの、勝ったルクソールカフェには3馬身半差を付けられていた。
クリストフ・ルメール騎手いわく、「ゲートのなかで寝ているような感じ」「出遅れる馬は、ゲートの中でチャカチャカしたり、よく動いていることが多いのですが、この馬は違ってかすぎました」とその様子を説明した。
レースでは初めてブリンカーを着用したコスタノヴァは目覚ましい行きっぷりで直線を驀進し勝利を収めたわけだが、それがゲートの出にどのような影響を与えたかは定かではない。
実際レース後、木村調教師は「(スタートについては)出てくれた、という感じです。中間は正確に言うと、ゲート練習はしなかったです。多少の所作、雰囲気を見て、練習はしなかった」とコメント。手段を講じたからと言って、それがすぐ結果に結びつくとは限らないゲート、スタートという問題の難しさを感じるコメントだが、こと今回に関しては100点満点とは言わないまでも、自らの勝機を逸することがない程度の、ごく常識的なレベルのダッシュが切れたのは何よりの僥倖だった。
レースはシックスペンス(牡5歳/美浦・国枝栄厩舎)の逃げで始まり、ロードクロンヌ(牡5歳/栗東・四位洋文厩舎)、ペプチドナイル(牡8歳/栗東・武英智厩舎)がそれを追尾。その外からチャンピオンズカップ(GⅠ)覇者ダブルハートボンドが前をうかがい、ウィルソンテソーロはその直後で先団をマーク。まずまずのスタートを切ったコスタノヴァは10~12番手付近からの追走となった。 1000mの通過が59秒2という緩みのないペースで進んだレースは、先団馬群を中心に激しい動きをともないながら直線へと向いた。
いったんはペプチドナイルが先頭をうかがうが、その外からダブルハートボンド、ウィルソンテソーロが襲い掛かり、さらにはその外からひと際優れた脚勢で伸びてきたのがコスタノヴァ。悠々と前の2頭を飲み込んで先頭でゴールすると、鞍上のルメール騎手は彼のたてがみをひとなで。勇者の復活劇を称えるかのようだった。
ルメール騎手は、「(スタートは)一番注意しました。しかし、今日は良いスタートを切りましたので、ロスがなかったです。後ろの方にはなりましたが、ウィルソンテソーロの後ろの良いポジションでした。(直線は)安全に乗りました。結構外になりましたが、外に出してからコスタノヴァの手応えはすごく良かったです」と、振り返った。これでコスタノヴァの東京ダート成績は〔7・1・0・0〕。敗戦は2着の武蔵野ステークスだけという、凄まじいまでのコース実績である。
ウィルソンテソーロは実に中央GⅠレースで4度目の2着。コンビを完全に手の内に入れ、パーフェクトなレースをしてもまた勝利には手が届かなかった。「素晴らしい状態で競馬場に連れてきてもらいました。レース自体、いつも通り素晴らしい走りをしてくれましたが、どうしても勝つことが出来ません」とは川田将雅騎手。相手が悪かった、今日は彼の日ではなかった、と言うしかほかないのだろう。
3着のダブルハートボンドは、「初の芝スタートで、上手く進んでいけず、モタモタした分と、勝負どころも少しペースに戸惑うような感じでした」と坂井瑠星騎手が述べるように、経験値の浅さがディスアドバンテージとして出た格好。それでも上位2頭に喰らい付いた能力の高さは目を見張るもので、チャンピオンズカップのように、道中で息が入るツーターンの競馬になれば、再び頂点に輝くことも難しくないだろう。そういう意味では、陣営にも大きな意義があった一戦なのではないだろうか。
文●三好達彦
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