MotoGPは2025年にアメリカのメディア企業であるリバティ・メディアによって買収された。シリーズの展開については注目が集まっているが、今後の舵取りについてカルロス・エスペレータは収益化よりもブランドの成長基盤拡大を目指すと語っている。
カルロス・エスペレータはMotoGPのスポーティングディレクターを務めている人物だが、将来的にMotoGPの運営の舵取りを行なうことになるとも予想されている。彼の父親カルメロ・エスペレータは近代のMotoGPを成長させてきたMotoGP Sports Entertainment Group(旧ドルナ・スポーツ/2月に社名変更)のCEOであり、いずれその職を引き継ぐことになると見られているためだ。
79歳となった現在も、今日のMotoGPの礎を築いた立役者であるカルメロは、最も重要な意思決定に深く関与し続けている。その一方で、カルロスはシリーズに関する意思決定構造の中で役割を拡大しつつある。
2月上旬、MotoGPは2026年シーズンのローンチイベントを通じて、自らの可能性を世界に示した。このイベントは、マレーシアの首都クアラルンプール中心部にそびえる象徴的なペトロナス・ツインタワーの麓で開催された。
このイベント日はあいにくの雨にもかかわらず、数日前にセパンでテストを行なっていたマシンにファンが魅了される姿が広く見られた。この演出は、ドルナがリバティの支援と資金力を背景に、世界中のすべての家庭に届けたいと考える選手権の力を示すものだった。
カルロス・エスペレータは「それが我々の最終的な目標だ。実現不可能だと分かってはいるが、そこに向けて取り組んでいるんだ」と語っている。
リバティ・メディア以前のMotoGPオーナー(ブリッジポイントおよびカナダ年金投資委員会)はこれまで、主に関与は財務面に限定していた。しかしリバティ傘下となったことによる方針の変化が当然予想される。とはいえ、MotoGPとして収益化を急いでいるわけではないと、カルロス・エスペレータは主張する。
「金融ファンド間での戦略的な違いは非常に明確だ。つまり1~3年といった短期的な経済リターンに重きを置くものと、より長期的な判断を行う存在とではその違いは顕著だ」
「我々はMotoGPの長期的な成長の基盤を築くことには急いでいるが、収益化を急いでいるわけではない」
なおリバティによるMotoGP買収にもかかわらず、新たな首脳陣がパドックに姿を見せる機会は比較的少ない。その中ではリバティのCEOであるデレク・チャンが昨シーズン中に何度か現場に訪れていて、このオフシーズン中はドルナの幹部とのコミュニケーションを通じ、日常的な業務を把握していたという。
カルロス・エスペレータは、F1の爆発的人気シリーズへの成長を実現させたリバティ・メディアのような経験豊富なチームを得られることは、贈り物のようなものだと語る。
「成長データは非常に前向きであり、それは昨年末にも確認できた。しかし、ショーン・ブラッチズ、チェイス・キャリー、デレク・チャンといった人物が、その豊富な知見をもって意思決定プロセスに関与してくれること自体に、極めて大きな価値があるんだ」
そして、MotoGPのスペクタクル性と、それに対して正当な評価を受けていないと考えているエスペレータは、さらにブランドを成長させるために決意を固めている。
「今、我々は何に注力しているのか? それは1にブランド、2にブランド、そして3にブランドだ。世界中にフォロワーを増やし、リーチを広げることだ。そのための戦略的転換を進めている。昨年タイ・バンコクで初めて実施したシーズンローンチイベントのように、我々は物事を違ったやり方で進めている」

