●だいたい週1回で新製品 豊富なラインアップと開発スピードの速さ
取材に対応してくれたのは、執行役員・カスタマーエクスペリエンス本部長を務める井田真人さん。モバイルバッテリーといえば「Anker」、と思い浮かべる人も多いのではないだろうか。製品を数多く手がけてきた同社は、どんな取り組みを行っているのか。話を聞いてみよう。
──Anker製品といえば、どんな特徴が?
井田さん(以下敬称略) できる限りシンプルに、というのが当社の製品の特徴かなと思います。特にモバイルバッテリーで言えば「小さくて容量が大きい」、これが日本のユーザーのニーズかと思いますので、ここを満たせるように製品開発しています。
──バリエーションも豊富ですよね。
井田 はい、そこはすごく意識しています。やっぱり、開発・展開のスピードは当社の強みの一つです。細かなバリエーション含め、週に1回ぐらいは新製品が出ている、そんなスピード感です。
──ちなみに今モバイルバッテリーは何製品ぐらいあるんですか?
井田 新しい製品が発売されたり、切り替わったりするタイミングにより製品数は変動しますが、今は約50製品(2026年2月現在)ラインアップしています。
──本社は中国ですが、製品開発については?
井田 ベースは本社チームが開発をしていますが、日本法人も開発提案をしており、一緒に開発をしている製品も多くあります。国内のニーズなどをしっかり取り入れてもらうようにしております。
●塵の大きさどこまで許せる? 許容誤差はマイクロメートル単位 重要部品は管理を厳格に
──安全性に関する取り組みについて。製品の設計ではどんなところに力を入れていますか。
井田 まずは保護機能です。温度保護や過充電保護などのほか、過放電保護や短絡防止といった機能を網羅しています。また、バッテリーマネジメントシステムにより、設計全体で保護を働かせることができます。たとえ1つ機能が働かなくても、別の機能でカバーできるような二重、三重の安全対策が施されています。
──部品の選定や生産体制については?
井田 弊社は自社工場を持たない、いわゆる「ファブレス」ですが、だからこそ部材選定やサプライヤー側の生産体制の質と管理には力を入れています。
バッテリーセルなど、清潔さや精密さが求められるものについては、製造工程を厳密に管理しています。例えば、クリーン度を測るために、空気中に浮遊する微粒子の量や個数を測定できるパーティクルカウンターを用いてダストのサイズや量を計測します。許容される塵の大きさはいくつか、といった明確な基準をAnker側で設けて、サプライヤーに徹底してもらっています。
さらに、品質のばらつきを抑えるため、精密な部材においては、マイクロメートル単位で管理しています。そして、Anker側で現場管理システムを開発し、全ての提供サプライヤーに使用を義務付けているほか、各製品にはシリアルナンバーや二次元コードを付け、いつどこで製造されたのか、部品単位で追跡、一元管理できるようにしていますので、トラブルの際にも、迅速に対応できます。
──安全試験については?
井田 もちろん、日本の電気安全法(PSE)、国際基準のIEC62368-1といったものは通過していますが、開発段階の評価から、サプライヤーへの品質管理などを行っています。さらに、2025年には中国本社ですべての試験に対応できるラボ施設を設けました。日本法人でも、元素解析やX線検査など、各検査を国内実施できる体制を整えています。

